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退職時の給与支払い手続きにおけるポイント

   

 

 

 

今回の記事では、従業員が退職した場合の給与支払い手続きにおけるポイントとして、社会保険料、住民税および前払い支給分の取り扱いについて紹介します。

 

退職時の社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険)

 

社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険)は、退職日が月末か月末以外かによって控除額が変わります。

 

・月の末日に退職した場合

 

社会保険の被保険者資格の喪失日は、退職日の翌日とするため、月の末日に退職した場合、被保険者資格の喪失日は退職月の翌月の初日になります。

 

例えば、従業員が3月31日付で退職した場合は、被保険者資格の喪失日は4月1日となります。

 

社会保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める必要があるため、月の末日で退職した場合は、退職月分の社会保険料も含めて控除する必要があります。

 

そして、毎月の給与から控除される社会保険料は、前月分になります。

 

また、給与計算の締切日によって、退職時の給与から前月分と当月分の2か月分の社会保険料を控除する必要がある場合もあるため注意が必要です。

 

例えば、当月末締め当月25日払いの会社で従業員が3月31日付で退職した場合、4月に支給する給与から社会保険料を控除できないため、3月に支給する給与から2月分と3月分の2か月分の社会保険料を控除する必要があります。

 

・月の途中で退職した場合

退職した日の翌日に社会保険の被保険者資格を喪失することとなります。

 

保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める必要があるため、退職月分の社会保険料は発生しないこととなります。

 

なお、退職者は国民健康保険や国民年金などの社会保険に絶え間なく入る必要があるため、月末日以外に退職した場合は退職月分の国民健康保険や国民年金などの保険料を自身で納める必要があります。

 

・入社した月に退職した場合

社会保険の資格を取得した月にその資格を喪失した場合は、保険料の納付が必要になります。

 

被保険者負担分の保険料は退職時に給与から控除され、会社が会社負担分と被保険者負担分を翌月末までに納付することとなります。

 

ただし、社会保険の資格を取得した月にその資格を喪失し、さらにその月に新たな社会保険の資格(国民年金第2号被保険者を除く)を取得した場合は、先に喪失した社会保険料の納付は不要となります。

 

 

 

 

 

 

 

住民税の取り扱い

退職時は住民税の取り扱いにも注意が必要です。

 

住民税は、前年の1月1日~12月31日の所得に対して課税され、翌年1月1日の時点で住所がある自治体に対して、翌年6月から翌々年5月までに納めるものです。

 

住民税の納税方法は、普通徴収と特別徴収の2パターンがあります。

 

普通徴収は市町村から送られてくる納付書を使い、自分で納める方法を指します。

 

一方、特特別徴収は、会社員などの給与からあらかじめ天引きされて徴収される方法です。

 

給与所得者が退職する場合の納付方法には、以下の2種類があります。

 

1月1日~5月31日に退職した場合

1月1日~5月31日に退職した場合、基本的には5月までに納めるべき税金の残額を給与から一括徴収して会社が納付します。

 

納税額が給与と退職金の合計を上回ってしまった場合には、普通徴収に切り替わり、退職する従業員が自身で納付することになります。

 

6月1日~12月31日に退職した場合

6月1日~12月31の間に退職した場合、従業員から申し出がある場合は、翌年5月までに納める税金の残額を給与又は退職金から一括徴収して会社が納付します。

 

申し出がない場合は、退職月の住民税は給与から天引きで徴収し、退職月の翌月以降に納める予定の住民税については、普通徴収として退職する従業員が自身で納付する必要があります。

 

 

住民税の「特別徴収に係る給与所得者異動届書」の送付

特別徴収に係る給与所得者異動届(以下、異動届書)は、給与の支払を受けなくなった日の翌月10日までに手続きを行います。

 

住民税の異動届書を納付先の市町村に提出しましょう。

 

なお、退職する従業員について転職先が決まっている場合、転職先の会社で特別徴収を継続する方法をとることができます。

 

退職後、転職先で引き続き給与から天引きされる形になります。

 

前払いで支給している項目の確認

上記の他、退職時の給与計算では、前払い支給している項目が無いか確認しましょう。

 

通勤手当は、定期券の購入のために3か月分あるいは6か月分として前払いで支給しているケースがあります。

 

前払い支給している項目を見逃した場合、退職月の給与については、過払いが生じて退職後の従業員に対して給与の返還を求める必要があります。

 

退職した従業員との間でトラブルになることもあるため、注意が必要です。

 

資格喪失手続きも忘れずに行いましょう

 

従業員が退職したときには、社会保険と雇用保険の資格喪失手続きを行う必要があります。

 

社会保険の資格喪失手続きは、事実発生日の翌日から5日以内に手続きします。

 

「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」と「健康保険被保険者証」を事務センターまたは管轄の協会けんぽに提出しましょう。

 

雇用保険の資格喪失手続きは、離職により被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に手続きします。

 

「雇用保険被保険者資格喪失届」を事業所管轄のハローワークに提出しましょう。

 

この際「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」「離職理由を確認できる書類」のほか、「雇用保険被保険者離職証明書」の添付が必要です。

 

ただし、退職者本人が雇用保険被保険者離職票の交付を希望しない場合は、雇用保険被保険者離職証明書を提出する必要はありません。

なお、離職の日において59歳以上である被保険者については、本人が離職票の交付を希望しない場合でも雇用保険被保険者離職証明書を提出する必要があります。

 

まとめ

退職月の給与計算も、原則的な計算方法は通常月の給与計算と同じですが、社会保険料や住民税の取り扱いなど注意すべきポイントを押さえて、正しく給与計算を行いましょう。

 

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