給与関連知っトク情報♪

退職所得の取り扱い及び計算について

   

本記事では退職所得の取り扱いについて解説します。

 

退職金とは

退職金とは、従業員の退職時に雇用主が支払う金銭のことで、一般的に「退職金」、「退職手当」、「退職慰労金」等と呼ばれます。

一方税務上では「退職所得」と呼ばれ、所得税や住民税が課税されます。

原則退職所得として課税対象となる退職金とは、退職に起因して支給される一時金等が該当します。

退職所得に含まれるもの

課税対象となる退職所得に含まれる一時金には以下のようなものがあります。

①国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法および独立行政法人農業者年金基金法の規定に基づいて支給される一時金

➁引き続き勤務する社員に支払われる給与で退職手当とされるもの

③社員から執行役員への就任に伴い、退職手当等として支給される一時金

④社員が掛金を拠出する事により退職時、使用者から支払われる一時金

⑤過去の勤務に基づき以前の会社から支給される年金に代えて支払われる一時金

⑥ 労働基準法第20条の規定による解雇予告手当

⑦確定給付企業年金法の規定にもと浮いて支払われる一時金

⑧未払賃金立替払制度に基づき国が弁償する未払賃金

 

退職金の計算方法

 

<所得税の計算>

退職金にかかる所得税の計算式については、職員が「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しているか否かによって異なります。

「退職所得の受給に関する申告書」とは、退職金を受け取る人が退職手当の支払い側に対して提出する申告書の事で、この申告書を提出することにより、適正な退職所得の額と所得税額が計算され源泉徴収が行われます。

提出がない場合は、提出する場合に比べて課税額が大きく増えてしまいますので注意が必要です。

以下に一般的な計算方法について説明します。

 

■「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合

例)退職金1,900万円・勤続年数28年3ヶ月のケース

 

①社員の勤続年数を確認する

 └勤続年数に応じて下記表に当てはめ計算する(端数月切り上げ)

勤続年数(A)

退職所得控除額

20年以下

40万円 × A
(80万円に満たない場合は、80万円)

20年超

800万円 + 70万円 × (A – 20年)

 

例)勤続年数28年3ヶ月のケース

・800万円 + 70万円 × (29年-20年)=1,430万円

 

➁ 退職金額から①で算出した金額を差し引き1/2をかけ、「課税退職所得金額

」を求める

例)

(1,900万円-1,430万円)×1/2=235万円→「課税退職所得金額」

 

③ ➁にて算出した金額を下記速算表に当てはめ税額を求める

課税退職所得金額(A)

税額=

195万円以下

[(A)× 5%]× 102.1%

195万円を超え330万円以下

[(A)× 10% – 97,500円]× 102.1%

330万円を超え695万円以下

[(A)× 20% – 427,500円]× 102.1%

695万円を超え900万円以下

[(A)× 23% – 636,000円]× 102.1%

900万円を超え1800万円以下

[(A)× 33% – 1,536,000円]× 102.1%

1800万円を超え4000万円以下

[(A)× 40% – 2,796,000円]× 102.1%

4000万円超

[(A)× 45% – 4,796,000円]× 102.1%

 

例)

(235万×10%-97,500円)×102.1%=税額140,387円(端数切捨て)

 

■「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていない場合

退職金の支給額に、一律の所得税(20.42%)が課税されます。

 

例)退職金1,900万円・勤続年数28年3ヶ月のケース

1,900万円×20.42%=3,879,800円

 

上記の通り、申告書の提出がない場合は、支給額全額に対して課税されるため、徴収税額が多くなります。このため、退職金の支給を受ける人が自分で確定申告をして清算する事になります。

 

通常の計算方法と異なるケース

以下ケースの場合は計算方法が異なるため注意が必要となります。

 

  • ①死亡による退職の場合

死亡した社員に対する退職金が、死亡後3年以内に相続人等に支払われた場合、退職金は相続税の課税対象なり、所得税の課税対象にはなりません。

 

➁勤続年数が5年以下の役員等の場合

役員等としての勤続年数が5年以下の役員等の事を特定役員等といい、勤続年数が5年以下の場合は、退職金から退職所得控除月を差し引いた後1/2をかけず、速算表に当てはめて税額を求めます。

 

  • ③勤続年数が5年以下の役員等以外の場合

勤続年数が5年以下である者のうち、役員以外の職員についても、退職金額から退職所得控除額を控除した額が300万円を超える部分は、退職金から退職所得控除月を差し引いた後1/2をかけず、速算表に当てはめて税額を求めます。

 

  • 同じ年に2か所以上から退職金が支給される場合

他の会社が支払う退職金も含めて税額を計算します。勤続年数が重複している場合はそれぞれの勤続期間のうち最も長い期間にて計算します。

さらに、最も長い期間以外に、どの期間にも重複していない勤続期間がある場合は、その期間も加算して計算します

 

<住民税の計算>

通常の給与と同様、退職金からも住民税の特別徴収が発生します。退職金から控除する住民税は、市町村民税と道府県民税を合わせて市区町村に納入します。

住民税については、所得税の計算とは異なり「退職所得の受給に関する申告書」の提出有無にかかわらず同額の徴収となります。

 

以下計算式になります。

■住民税額=退職所得金額×(市町村民税6%+道府面民税4%)

例)

235万円(課税退職所得金額)×(市町村民税6%+道府面民税4%)=235,000円(住民税額)

 

まとめ

今回は退職金の取り扱いや所得税、住民税の計算について説明しました。

退職所得について正しく理解し、業務に生かしましょう。

 

企業の給与計算代行、WEB明細化、勤怠集計効率化、給与制度設計、人事評価制度の構築、人事労務管理のDX化及び年末調整補助サービス等の専門業務のアウトソーシングサービス・コンサルティング業務を行うAimペイロールエージェンシーにご連絡ください。懇切丁寧にご相談に乗らせて頂きます!

 - PAYROLL 源泉徴収票, ペイロール, ペイロール 年末調整, ペイロール 源泉徴収票, 給与計算 アウトソーシング 札幌, 給与計算 年末調整, 給与計算 源泉徴収票, 給与計算実務