日割り計算
給与計算をする中で、月給者が欠勤し控除をする場合や、月途中での入退社、昇給が発生した場合「日割り計算」が必要になります。
給与における日割り計算には、法的な規定がありません。そのため、計算方法等のルールは各企業の裁量に委ねられています。
とはいえ、給与は労働に対する対価であり、正しく支払われる必要があるため、根拠があり合理的かつ公平な計算方法でなくてはなりません。
本記事では、給与計算における日割りの計算方法やポイントについて解説します。
計算方法
日割り計算の方法について、多くの会社で採用されている方法を以下に紹介します。
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①暦日数で計算
月給を単純に暦日数で日割りする方法で、シンプルかつミスが起きにくい方法です。
【計算式:月給÷暦日数×出勤日数】
特徴として、以下例のように暦日により金額が変動するという点があります。
・2月:月給200,000円÷28日×10日=71,429円
・8月:月給200,000円÷31日×10日=64,516円
➁ 所定労働日数で計算
月給を各月ごとの所定労働日数で日割りする方法です。
各月ごとの所定労働日数を用いる事で、暦日で日割りする方法よりも1日当たりの金額が高くなるのが特徴です。
ただし月の所定労働日によって金額が変動するため、年末年始やゴールデンウィーク等が休みの事業者の場合は所定労働日数が少なくなります。
③ 月平均の所定労働日数で計算
年間での月平均所定労働日数を用いた計算方法です。
暦日や各月の所定労働日数を用いた計算方法と違い、月毎の金額差が出ない事が特徴です。
以下に計算方法を解説します。
例)月給200,000円、年間休日110日の場合※端数切捨て
1.1年間の暦日数(365日)から年間の休日を引く
・365日-110日(年間休日)=255日(年間労働日数)
2.年間労働日数255日を12ヶ月で割る
・255日÷12=21.25日(月平均の所定労働日数)
3.2.を用いて日割り分の金額を算出する
・200,000円(月給)÷21.25日×10日(出勤日数)=95,238円(四捨五入)
※補足_労働時間単価で計算する
ここまでご紹介した方法は出勤日数をもとに計算する方法でしたが、時間単位を用いる事で残業代や休日出勤等の計算が可能です。
計算方法を以下に説明します。
例)月給200,000円、年間休日110日、1日の所定労働時間8時間の場合※端数切捨て
1.年間労働日数に1日の所定労働時間をかける
・255日(年間労働日数)×8時間=2040時間(年間の所定労働時間)
2.年間の所定労働時間を12ヶ月で割る
・2040時間÷12=170時間(1ヶ月の所定労働時間)
3.1ヶ月の所定労働時間から時間単価を計算する
・200,000円(月給)÷170時間=1176円
4.該当の労働に合わせた割増賃金を計算する(残業代の場合)
・1176円×1.25×労働時間
手当ては日割りに含める?
手当を日割りに含めるかどうかについても法的な決まりはないため、会社の裁量に委ねられています。
ただし、一般的に以下のような生活の負担を補う福利厚生の意味合いが強く毎月一定額を支払う各種手当については、全額支給が望ましいとされています。
・家族手当
・扶養手当
・住宅手当
・子女教育手当 等
会社の判断として各種手当も日割り計算を行うのであれば、基本給と同様の方法で日割り計算を行いましょう。
端数処理について
日割り計算した金額に1円未満の端数が生じた場合は、基本的に労働者に有利となるように処理します。
つまり、欠勤控除をする場合は円未満切り捨て、出勤分を支給する場合は円未満切り上げとなります。
尚、労働基準法上、割増賃金の計算をする際端数が生じた場合は「五十銭未満の端数は切り捨て、それ以上を1円に切り上げること」と定められています。
まとめ
上記で説明した通り、日割り計算には法的なルールがないからこそ、従業員とのトラブルを避けるためにも、具体的な計算式や手当の取り扱い等については就業規則や賃金規定に明記し周知しておく必要があります。
また、規則で定める事により、担当者が変更になったときの時期次もスムーズに進める事ができます。
日割りの計算方法や運用を正しく理解し業務に取り組みましょう。
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