退職時の社会保険資格喪失日について|会社側の手続きや保険料との関係も解説
本記事では、退職時の社会保険資格喪失日について紹介し、社会保険資格喪失時の会社側の手続きや保険料との関係も含めて解説します。
退職時の社会保険資格喪失はいつ?
退職により社会保険資格を喪失する場合、資格喪失の理由によって、当日が資格喪失日になるものと翌日が資格喪失日になるものがあるため、注意する必要があります。
当日が資格喪失日となるケース
1:75歳に到達した場合
被保険者は、75歳に到達すると後期高齢者医療制度に移行するため、被保険者資格を喪失しますが、後期高齢者医療制度に移行する場合の被保険者資格喪失日は、75歳の誕生日当日となります。
ここで、年齢到達日については、法律上、誕生日の前日が年齢到達日とされるため、資格喪失日の「75歳の誕生日当日」とは、75歳の誕生日の前日のことを指します。
2:65歳から75歳の被保険者が障害認定を受ける場合
後期高齢者医療制度は、75歳に到達した被保険者が移行する健康保険制度ですが、65歳から75歳の被保険者が一定の障害状態にあると認定される場合も、後期高齢者医療制度に移行します。
65歳から75歳の被保険者が障害認定を受けて後期高齢者医療制度に移行する場合、被保険者資格喪失日は、障害認定日当日となります。
翌日が資格喪失日となるケース
1:退職により社会保険の被保険者資格を喪失する場合
退職により社会保険の被保険者資格を喪失する場合については、退職日(適用事業所に使用されなくなった日)の翌日が資格喪失日となります。
2:従業員が死亡した場合
死亡による退職の場合については、死亡した日の翌日が資格喪失日となります。
3:定年退職後に再雇用される場合
定年により退職した従業員を再雇用するケースでは、再雇用後の給料が大きく下がることがあります。
このような場合に社会保険に継続して加入していると、給料は減っているにも関わらず現役時代と同額の社会保険料を払う必要がでてくると、従業員にとって大きな負担となります。
このような事態になることを防ぐために、定年退職日の翌日に被保険者資格を喪失し、同日に社会保険資格を取得するという「同日得喪」と呼ばれる手続きを行います。
同日得喪は60歳以上の被保険者を対象に行います。
従業員が社会保険の資格を喪失した際の会社側の手続き
会社は、従業員が社会保険資格を喪失するにあたって、被保険者資格喪失届の提出と保険証(健康保険被保険者証)の返却が必要になります。
被扶養者に交付していた保険証も含めて全ての保険証を従業員から回収し、被保険者資格喪失届を提出する際に、保険証を一緒に返却する必要があります。
保険証が回収できない場合は「健康保険被保険者証回収不能届」を提出します。
健康保険被保険者証回収不能届の被保険者資格喪失届の用紙およびは、以下の日本年金機構ホームページからダウンロードできます。
資格喪失日と保険料との関係
社会保険被保険者資格を喪失した場合、保険料の控除は不要になりますが、資格喪失日によって社会保険料の計算に違いがあるため、注意が必要です。
退職日が月末の場合
月末に退職する場合の社会保険被保険者資格喪失日は、翌月1日となるため、退職日の属する月末時点で、会社に在籍して被保険者資格を有しているため、退職月の社会保険料を控除する必要があります。
月末以外に退職する場合
月末以外に退職する場合、月末までには被保険者資格を喪失していることになるため、その月の社会保険料の控除は不要になります。
資格取得日と資格喪失日が同一月の場合
被保険者の資格取得日と資格喪失日が同一月内にある場合は、その月について社会保険料は控除する必要があります。
※ただし、被保険者資格を取得した月にその資格を喪失し、さらにその月に別の会社での被保険者資格または国民年金(第2号被保険者を除く。)の資格を取得した場合は、先に喪失した社会保険料の納付は不要となります。
賞与の支給があった場合
退職日の翌日が属する月(資格喪失日)に支給される賞与には社会保険料控除の対象になりません。
例えば、4月10日に賞与が支給され、4月20日付けで退職する場合、退職日の翌日が属する月は4月となります。
よって、4月10日支給の賞与からは、社会保険料は控除しないことになります。
一方、4月10日に賞与が支給され、4月末日付で退職する場合は、退職日の翌日が属する月は5月となることから、このケースでは社会保険料は控除することとなります。
まとめ
今回は、退職時の社会保険資格喪失日について紹介し、社会保険資格喪失時の会社側の手続きや保険料との関係も含めて解説しました。
退職時の社会保険料控除については給与計算で間違えやすいポイントであるため、資格喪失日や保険料控除の取り扱いを改めて確認し、正しく給与計算を行いましょう。
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