法改正による社会保険の適用拡大
本記事では、社会保険の適用条件及び法改正による今後の適用拡大について説明します。
給与計算業務は、様々な法改正に対応をしなければいけません。
政府は、法改正を通じて徐々に社会保険適用拡大の取り組みを進めてきました。
特に直近では、パートやアルバイト等の短時間労働者に対する適用条件がさらに拡大されるため、ここでは加入要件や注意点について説明します。
社会保険が適用となる条件
前提として、社会保険が適用となる条件について説明します。
①社会保険適用事業所
社会保険の加入対象となるか否かは、事業所で判断します。
社会保険の適用を受ける事業所を「適用事業所」といい、適用事業所には「強制適用事業所」「任意適用事業所」の2種類があります。
それぞれ下記の通り、特性や条件等が異なります。
■強制適用事業所:社会保険強制加入
・法人事業所
・個人事業所で従業員を常に5名以上の雇用している事業所 ※一部除く
■任意適用事業所:一定の条件を満たせば任意加入が可能
・個人事業所⇒従業員が5名未満の事業所
・非適用業種⇒個人事業で、農業・林業・水産業、サービス・自由業、宗教など
※2022年9月までは弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士等の士業の個人事業所についても任意適用事業所でしたが、2022年10月法改正より「常時5人以上の従業員を雇用している事業所」については強制適用事業所となりました。
➁加入条件、対象者
適用事業所の中で、社会保険に加入が必要である従業員の条件は以下の通りです。
1.常時雇用されている従業員
2.週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上、且つ、1ヶ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上である者(以下「4分の3基準」)
上記2.の「4分の3基準」を満たさないものでも社会保険の加入が可能になるよう法改正により徐々に適用範囲の拡大がなされています。
詳細を次項にて説明します。
短期労働者の社会保険適用拡大について
2022年9月まで、4分の3基準を満たさないパート、アルバイト等の労働者については
以下の要件すべてに該当する場合に社会保険適用することとされていました。
・1週間の所定労働時間が20時間である
・雇用期間が継続して1年以上見込まれる事
・賃金の月額が8万8,000円以上であること
・学生でない事
・被保険者の総数が常時500名を超える事業所である事
上記は2022年10月度法改正により適用範囲が拡大され、現行の要件については下記となっています。
・1週間の所定労働時間が20時間である
・雇用期間が2ヵ月を超えて使用される見込み
・賃金の月額が8万8,000円以上であること
・学生でない事
・被保険者の総数は常時100名を超える事業所である事
更に2024年10月以降からは、企業の従業員規模の基準が「常時100名を超える」から「常時50名超」に拡大されます。
今後適用範囲が中小企業にも及ぶため、企業、労働者、労務担当者等にも大きな影響が及ぶ事が予想されます。
まとめ
給与計算業務は、特性上法改正に大きく影響されるため、様々な法改正の内容について事前に把握、適応しなければいけません。
社会保険の適用条件、加入要件、変更点等について正しく理解し、業務に取り組むよう心がけましょう。
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