業務上のけがや病気で社長等が健康保険を使える場合とは
本記事では、法人の役員が業務上の事由により健康保険を使える場合について解説します。
労災保険と健康保険の関係
労災保険法の対象は労働者であり、原則、個人事業主や法人の役員などは、労災保険法の対象者としていません。
一般の労働者であれば、業務中や業務に起因したケガや病気は労災保険、それ以外は健康保険を使うことにより、全てのケガや病気について公的医療保険の給付の対象となります。
法人役員の場合
健康保険法第1条では、業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産については健康保険の給付対象となることが規定されています。ただし、健康保険法第53条の二では、被保険者または被扶養者が法人の役員である場合には、その法人の役員としての業務に起因する傷病については支給しないとされています。
ちなみに法人役員としての業務とは、法人のために行う業務全般を指します。
つまり、法人役員の場合には業務上の傷病については健康保険法が給付されないので、公的保険を利用するためには労災法の特別加入が必要であるということになります。
これは、労災保険法の特別加入制度がある以上、それを利用しないことは自己責任であるという考え方となります。
法人役員の例外
ただし、法人役員としての業務のうち、被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人についての役員としての業務であり厚生労働省令で定めるものについては例外として、法人の役員であっても健康保険法の給付の対象となるとされています。
上記の厚生労働省令で定めるものとは、健康保険法施行規則第52条の2により「当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められるもの」とされています。
具体的には、被保険者が5人未満の法人の役員については、その役員の業務が他の一般労働者と同一の業務でなければ健康保険法による保険給付はされないこととなります。
したがって、当該役員の業務が他の一般労働者と同一の業務に該当しない場合は、労災保険に特別加入していない場合、公的保険による救済はないこととなります。
まとめ
今回は、法人の役員が業務上の事由により健康保険を使える場合について解説しました。
労災保険や社会保険の給付関係についても正しく理解しましょう。
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