年次有給休暇について➁
前項では年次有給休暇について、基本的なルールを解説してきました。
その他にも重要なルールがありますので本記事にて解説いたします。
◆年5日取得義務及び時季指定義務
働き方改革法の成立に伴い2019年4月1日以降、全ての企業は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年に5日間の有給休暇を取得させることを義務付けられています。
年次有給休暇は原則労働者の申出により取得させますが、申出がなく年5日取得していない労働者に対しては、使用者が時季を指定して与える必要があります。
これを時季指定義務といいます。
また、時季指定義務においては労働者の意見を聴取し尊重したうえで使用者が時季を指定する必要があります。
◆計画的付与
年次有給休暇の計画的付与とは労使協定を結ぶことで、年次有給休暇の5日を超える部分について計画的に休暇取得日を割り振りする事が出来る制度の事です。
5日を超える部分とは………??
従業員が病気その他の個人的事由による取得ができるよう、指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があるため、年次有給休暇の日数のうち「5日」は個人が自由に取得できる日数として残しておかなければなりません。
このため、労使協定による計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。
◆年次有給休暇管理簿
有給休暇管理簿とは、従業員の有給休暇を管理するため作成する書類のことです。
労働者毎に年次有給休暇を取得した時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにし、5年間(当分の間は3年間)の保存が義務づけられています。
※3年間というのはあくまでも経過措置となるため、5年間保存できる体制が望ましいです。
また、管理簿は必要なときに出力等できる環境下であれば、クラウド上での作成、管理でも問題ありません。
◆時季変更権
年次有給休暇は原則労働者の請求する時季に与えなければならないとされいます。(=労働者の時季指定権)ただし、請求された時季に休暇をあたえることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者から労働者へ他の時季への変更を求める事ができる、労働者の時季変更権が認められています。
◆時間単位の年次有給休暇
時間単位の有給休暇とは、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにすることを目的として、労使協定により、年次有給休暇について5日の範囲内で時間を単位として与えることができることとした制度です。
・要件
労使協定の締結と、労働者が10人以上の事業場の場合には就業規則上の規定が必要となります。また、時間単位の有給休暇を新たに導入した場合、就業規則変更が必要となり、労働基準監督署への届出も必要となります。
・時季変更権、計画的付与との関係について
時季変更権:時間単位の有給休暇において時季変更権の対象となりますが、「時間単位の有給→日単位の有給」に変更または「日単位の有給→時間単位の有給」への変更は認められておりません。
計画的付与:時間単位年休は、労働者が時間単位による取得を請求した場合において、労働者が請求した時季に時間単位により年休を与えることができるものですので、計画的付与として与えることはできないこととされています。
また、予め労使協定にて時間単位年休を取得する事が出来ない時間帯を定める事、1日のうちで取得する事ができる時間数を制限する事等も認められておりません
・計算方法
通常の年次有給休暇と同様の下記のいずれかを、その日の所定労総時間数にて除して算出します。
① 通常の賃金
② 平均賃金
③ 労使協定に基づく健康保険上の標準報酬日額相当
まとめ
年次有給休暇を適正に付与・管理するのは大変な労力を要することが考えられます。また、年次有給休暇の時効や賃金の計算方法等把握しておくべき事項が多くあります。只今ペイロールエージェンシーでは年次有給管理についてお得なキャンペーンを実施中です。管理方法や、適正な付与日数等お悩みのことがございましたら是非Aimペイロールエージェンシーへご相談ください。
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