賞与の所得税計算について
前回の記事では賞与から控除される保険料や所得税の基礎的な知識について説明しました。
賞与から控除される所得税には、特別な計算が必要になるケースがあります。
本記事では特別な賞与支払い時の所得税計算について解説していきます。
賞与から控除される所得税計算
まずは賞与から控除される所得税の、基本的な計算方法から解説します。
下記手順に沿って計算していきましょう。
【所得税の計算方法】
- ➀ 前月の給与から社会保険料、雇用保険料を控除した後の「課税対象額」を求める
➁ ①で求めた数字と控除対象扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめ「賞与の金額に乗すべき税率」を求める
※「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」とは、国税庁発出の税額表です。
国税庁HPよりいつでも参照が可能です。
➂ 賞与総支給額から社会保険料、雇用保険料を控除した、賞与の「課税対象額」を求める。
➃ ➁で求めた税率を③で求めた「課税対象額」に乗じて所得税を算出する。
税率は税扶養人数によって変わりますので注意しましょう。
特別な所得税計算
■前月の給与がない場合
前項で解説したとおり、「賞与の金額に乗すべき税率」は前月の給与から求めますが、前月の給与の支給がない場合は、例外的に以下の手順で計算が必要になります。
- ➀ 賞与総支給額から社会保険料、雇用保険料を控除した、賞与の「課税対象額」を求める。
➁ ①で求めた「課税対象額」を6で割る
※賞与の算定期間が6か月を超える場合は12で割る
➂ ➁を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめ税額を求める
※「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」とは、国税庁発出の税額表です。
国税庁HPよりいつでも参照が可能です。
➃ ➂に6を乗じる
※賞与の算定期間が6か月を超える場合は12を乗じる
前月の給与がない場合に用いる税額表は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」ではなく「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」となりますのでご注意ください。
■賞与が前月の給与の10倍を超える場合
賞与の「課税対象額」が、前月給与の「課税対象額」の10倍に相当する金額を超えるケースがあります。
その場合は、前月給与がない場合と同様、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を用いて計算します。
以下に手順を説明します。
➀ 賞与総支給額から社会保険料、雇用保険料を控除した、賞与の「課税対象額」を求める。
➁ ①で求めた「課税対象額」を6で割る
※賞与の算定期間が6か月を超える場合は12で割る
➂ 「➁+前月の給与から社会保険料、雇用保険料を控除した金額」を求める
➃ ➂を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめ税額を求める
⑤ 上記➃から前月の給与に対する源泉徴収税額を差し引く
⑥ 上記⑤に6を乗じる
※賞与の算定期間が6か月を超える場合は12を乗じる
まとめ
今回は賞与から控除される所得税の特別な計算について解説しました。
賞与の所得税計算について正しく理解し実務に生かしましょう。
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