給与計算とDX
2023/02/10
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をご存じでしょうか。
本来DXとは、ビジネス領域に限ったものではなく、デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活をより良いものへと変革することを指す、広義の意味をもつ言葉です。
では、ビジネスの現場におけるDXとはどんなものを指すのでしょうか。イメージしやすいものだと、ペーパーレス化、クラウド化、オンラインのサブスクリプションサービスなどが該当するでしょう。ペーパーレス、クラウドなどはビジネスの現場でも徐々に浸透していますので、ご存じの方も多いと思います。
給与計算にもDXの波が来ています。
しかし、いまだアナログな方法で給与計算を行っている企業は少なくありません。
そこで、給与計算でDXを進めるにはどうしたらいいのか?と考える前に、まずはDX化したい作業フローの実態を把握するのが重要です。
「ペーパーレス」というテーマともかかわりが深いのですが、システムを使わずアナログなやり方で計算していると、どのような不都合が潜んでいるのでしょうか。
以下、作業フローに沿って順番に考えてみましょう。
ここでは紙のタイムカードを使っている会社を想定しています。
1 勤怠情報の確認
まず、タイムカード(原本)が完全に手元に揃うまでに時間がかかります。特に遠方の拠点(店舗、支店、事務所など)から郵送やFAXで届く、というパターンもあると思います。この場合は郵便事故・遅延・送信ミスなどのリスクも常についてまわります。
実際に現物のタイムカードが集まり始めてからも、印字が薄く判別不能・・・といった様々な理由で、情報を目視で読み取るのに時間がかかってしまうこともあります。
2 勤怠情報の集計
手計算での集計は、まさしくミスの温床です。
「うちは専門の担当者がいて毎月きちんと集計してくれるし、ベテランだから大丈夫」
と、いわれる社長様も多いですが、そこに問題が潜んでいます。
・そのベテランに替えはきくのか
・後継者にきちんと引継ぎ可能な状態なのか
・担当者が急病にかかっても、支払日に間に合うのか
こういった集計業務は「給与担当者だけができる業務」として完全に属人化してしまっているため、これらのリスクマネジメントが考慮されていないという会社様が多いのです。具体的にはどのようなステップで給与計算をしているか、上司を含め周りは誰も知らない…なんてこともよくあります。
そして以前のブログでも取り上げたように、ベテラン担当者にもミスをしてしまうリスクはありますし、「ミスができない仕事」「納期に間に合わないと怒られる」という毎月のプレッシャーは、心身に確実にダメージを与えるものです。
3 給与計算
なんとか勤怠集計が整って、やっと給与計算へ進むことになりましたがここにも罠が潜んでいます。
各種の手当を別途Excelで計算している等、手入力する際の入力ミスのリスクが大きいものです。また長く使っているExcelファイルは、担当者が変わったり、または法改正や社内の賃金ルールの変更のたびに数式がおかしくなっていたり、最悪の場合計算式がくるっていることに長らく気づかないままだった…ということが起こりえます。
4 銀行振込の準備
さて苦労の末、ようやく給与計算が終わり、支給額が確定しました。
いまだに従業員数全員の給与を、社長が支給日当日に毎月ATMから手入力で振り込みをしている・・・という会社様もあるかもしれません。
これも時間が非常にかかり、社長の手間も増える、手入力による金額の間違い、振込手数料も高くなりがちなど、非効率そのものです。
せめて、振込額をデータで作成し、ネットバンキングから振り込める体制は整えたいものです。
5 給与明細の配布
最後に給与明細の印刷と配布です。
長年の習慣により「給与明細は紙で発行すべき」、またお金を入れて渡すわけでもないのに「封筒で手渡ししたい」と紙の明細にこだわる会社様はいまだにいらっしゃいます。
このように紙明細や封筒明細にいつまでもこだわってしまうと、「事務作業する時間がなく、明細の印刷が支給日までに間に合わない」「専用用紙が値上がりする一方」「急いでいるのにプリンタの調子が悪い」「あと1枚というところでインクリボンの交換が必要になった」「印字のずれがうまく調整できない」「印刷の音がうるさい」「用紙をカットして店舗ごとに分けて郵送するのに時間も手も足りない」「郵送に時間と費用がかかる」・・・そういった問題が解決されることはありません。
このように、ひとくちに給与計算といっても、作業フローがいくつもあり、アナログな給与計算だとコストと時間が随分かかっていることがお分かりいただけたかと思います。
給与計算のDXを進めるには、個人情報、勤怠情報データの一元管理、クラウド化、ペーパーレス化に取り組むことが優先課題となりそうです。
かといって、クラウドでの勤怠管理も給与計算も、導入したら全てが解決というわけではありません。どんなに便利で高機能なシステムであっても、正しい給与計算には、専門的な知識は欠かせません。
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