法定内?法定外?混乱しやすい「割増賃金」のルールを解説!
株式会社Aimペイロールエージェンシーです!
給与計算業務の中でも、
「割増賃金」の取り扱いはミスが起こりやすいポイントの一つです。
特に“法定内残業”と“法定外残業”の区別は混乱しやすく、
実務でも間違いが起こりやすい項目です。
給与担当者向けに割増賃金の基礎と実務での注意点を整理して解説します。
【目次】
1.割増賃金とは?
2.法定内残業と法定外残業の違い
3.割増賃金の種類と率
4.実務で注意したいポイント
5.よくある実務のミスチェックリスト
6.まとめ
1. 割増賃金とは?
割増賃金とは、所定労働時間や法定労働時間を超えて労働した場合に支払う、
通常の賃金に上乗せする追加賃金です。
基本的には労働基準法に基づいて、以下のケースで発生します。
• 時間外労働(法定労働時間超え)
• 休日労働(法定休日の勤務)
• 深夜労働(午後10時~午前5時)
2. 法定内残業と法定外残業の違い
ここで混乱しやすいのが、「法定内」と「法定外」の違いです。
■ 法定労働時間とは?
労働基準法では、「1日8時間・1週40時間」を超える労働を“時間外労働(法定外)”と定義しています。
■ 法定内残業とは
例えば、会社の所定労働時間が7時間の場合、
7時間を超えて8時間まで働いた部分は「法定内残業」となり、
法律上は割増賃金の対象外です。
ただし、会社規定で割増支給しているケースも多いため、就業規則の確認が必要です。
■ 法定外残業とは
1日8時間、または週40時間を超える労働は“法定外”に該当し、
割増賃金(25%以上)の支払い義務が生じます。
3. 割増賃金の種類と率
給与計算で実際に使用する割増率は、以下の通りです。
※法定外労働が月60時間を超えた分は50%以上となります。
1カ月60時間を超える法定時間外労働の算定には、
法定休日(たとえば日曜日)に行った労働は含まれませんが、
法定外休日(たとえば土曜日)に行った法定時間外労働は含まれます。
なお、深夜労働の時間帯に1カ月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合、
その割増賃金率は75%以上(深夜割増25%以上+時間外割増50%以上)です。
4. 実務で注意したいポイント
◆「所定休日」と「法定休日」の混同に注意
休日労働の割増は「法定休日」の勤務にのみ35%以上必要です。
週に1日の法定休日(例:日曜)が決まっていない会社では、
休日区分が曖昧になりがちなので、就業規則で明示されているか確認しましょう。
36協定を締結していないと違法に…
法定外の残業を行うには、36協定の締結と届け出が必須です。
- 未締結の場合は、違法となり罰則の対象になります。
-
◆ 賃金台帳・勤怠の整合性
- 割増賃金のミスは、勤怠記録と給与計算ソフトの設定不備が原因であることが多いです。
- とくに給与計算ソフトでは下記の確認をしっかり行いましょう。
• 深夜時間帯の自動計算設定
• 所定外と法定外の時間集計方法 - 5. よくある実務のミスチェックリスト
- 以下のようなミス、発生していませんか?給与締日前に確認しておくと安心です。
□ 「所定労働時間」と「法定労働時間」を混同していないか
□ 深夜時間(22:00~翌5:00)の勤怠集計が正確にできているか
□ 所定休日と法定休日の区別が明確になっているか(就業規則を要確認)
□ 36協定が有効期限内で締結されているか
□ 勤怠システムの設定が最新ルールに対応しているか
□ 割増対象時間に応じた正しい割増率を適用しているか
6. まとめ
割増賃金は、「所定か法定か」「何の労働に対するものか」で適用ルールが決まります。
就業規則や勤怠システムとの整合性を取ることで、正確な給与計算が可能になります。
- 法定内残業に法的な割増義務はないが、会社規定によっては支給する
• 法定外残業、深夜、休日労働には明確な割増率が定められている
• 就業規則・36協定・勤怠システムの整備が必須
• 複雑な場合は、社労士への相談やアウトソーシングの検討も視野に入れる
複雑なケースでは社労士への相談や、アウトソーシングの活用も有効です。
Aimペイロールエージェンシーでは、企業の給与計算代行、WEB明細化、
勤怠集計効率化、給与制度設計、人事評価制度の構築、人事労務管理のDX化及び
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