弾力的な労働時間制度
我が国の経済社会状況について、満足度・生活の質に関する幅広い視点から「見える化」することが重要であるという観点から、主観的指標である「満足度」や関連する生活実態の動向を把握するため、「満足度・生活の質に関する調査」が2019年2月に開始されました。
この度、その第4回調査の調査結果を分析した報告書が内閣府より公表されました。働き方などに関連する調査結果について、一部抜粋してみてみましょう。
- 働き方の変化とWLB(ワークライフバランス),心の健康
・コロナ禍前と比べて、仕事時間が減少した割合は増加した割合を上回る。
・趣味や生きがいがある人では精神的なストレスを受けない割合が高い。
- 雇用不安と所得環境
・正規雇用者は非正規雇用者と比べて労働時間が長い人の割合が大きい。
・雇用形態に関わらず、労働時間が長いほど雇用・賃金満足度が低下。
これらの結果をみると、残業時間を減らし労働時間を短くすることが労働者の満足度を高めるのに重要であることがわかります。繁忙期と閑散期がある程度決まっている事業所の場合、その時期に合わせて労働時間を調整できる変形労働時間制を取り入れてみてはどうでしょうか。使用者にとっては、法定労働時間を月単位・年単位で調整することで、労働者の勤務時間が増加しても時間外労働として扱わなくてもよくなるという点でメリットがあります。労働者にとっては、繁忙期と閑散期のメリハリがつき、閑散期には所定労働時間を短くすることで休暇を取りやすくなりワークライフバランスを保ちやすい働き方ができます。
変形労働時間制は、労使協定または就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができます。
変形労働時間制には、次の3つがあります。
1.1ヶ月単位の変形労働時間制
2.1年単位の変形労働時間制
3.1週間単位の変形労働時間制
また、効率的な働き方に向けて作られた制度のフレックスタイム制があります。フレックスタイム制とは、精算期間(3カ月以内の期間に限る)を平均して、1週間当たりの労働時間が法定労働時間40時間(特例事業で精算期間が1ヶ月以内であるときは44時間)を超えない範囲で、1日8時間、1週間40時間(特例事業で精算期間が1ヶ月以内であるときは44時間)を超えて労働させることができます。労働者はその枠内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定し働く制度で、労働者がその生活と業務の調和を図りながら、効率的に働くことができ、労働時間を短縮しようとするものです。コロナ禍でテレワーク勤務が増えている中、フレックスタイム制の導入を検討している事業所は多いのではないでしょうか。
フレックスタイム制は、1日の労働時間帯を、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分け、出退社の時刻を労働者の決定に委ねるものです。なお、コアタイムは必ず設けなければならないものではありませんから、全部をフレキシブルタイムとすることもできます。また、これとは逆に、コアタイムがほとんどでフレキシブルタイムが極端に短い場合などには、基本的に始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねたことにはならず、フレックスタイム制とはみなされないので注意が必要です。
ただしこれらの制度を導入した場合、時間外労働の算出方法やシフトの組み方等たくさんの細かなルールが定められているため専門的な知識が必要となってきます。労働時間が一定ではなくなるため、勤怠管理が複雑化し給与計算をする際にミスにつながりやすくなってきます。
これを解決するひとつの手段として、アウトソーシングをお勧めいたします。複雑な事務作業を専門家が代行することで、確実に事務作業の負担が減るとともに、専門知識をもつ人が給与計算をしているということが労働者の安心にもつながります。
また弊社Aimペイロールエージェンシーの場合は、グループ会社に社会保険労務士法人があるためどの制度が自分の会社に合っているのか社労士が導入の相談にのることが可能ですし、導入手続きのお手伝いもできます。
少しでもご検討されていましたら、是非ご相談ください。
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