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賃金・給料・給与・報酬の違いとは?

   

皆さんは働くなかで、賃金・給料・給与・報酬の違いについて考えたことはありますか?

日頃よく使われる言葉ではありながら、それぞれ意味の違いがあることをご存じでしょうか。

今回はこの似て非なる用語の違いについて説明していきたいと思います。

 

まず「賃金」とは、使用者が労働者に対して、労働に対する報酬として支払う対価のことをいいます。

労働基準法(以下労基法)第11条では『この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう』と定義されています。

 

賃金と意味を混同しがちな単語として、給料・給与・報酬があります。まずは給料と給与の違いから説明します。

 

所得税法第28条1項では、

『給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。』と記載があります。

他に、地方公務員の基本給を定めた基準表は「給料表」という名称だったり、船員法で「給料とは、船舶所有者が船員に対し一定の金額により定期に支払う報酬のうち基本となるべき固定給をいう」などの条文もあり、二つの条文から考えると「給料」とは基本給を表していると言えるでしょう。

つまり「給料」は原則基本給のことを指し、「給与」は歳費や賞与などを含むため、給料よりも範囲が広いことがわかります。

 

次に賃金と給与の違いについてです。

 

実質的には「賃金」と「給与」はほとんど同意語であると考えて相違ありませんが、まず大まかな違いとして、視点の違いがあります。

給与は支払う側からみた言葉であることに対し、賃金は支払われる側から見た言葉です。また、給与は所得税法という法律で出てくるのに対し、賃金は労基法の中で出てくる言葉になります。

さらに賃金については前述労基法第11条で定義されており、さらに労基法24条で、原則として金銭(通貨)での支払いに限定されています。それに対し所得税法上の給与については、金銭には限られません。食事の現物支給や商品の値引き販売などの権利や、福利厚生施設の利用なども「現物支給」の給与として取り扱われます。ただしこのような「現物支給」の給与は換金性に欠けることや、評価が困難、受け取り側に物品選択の余地がない、などの理由から課税上は金銭で支払われる給与とは異なった取扱いが定められています。

 

最後に賃金と報酬の違いについてです。

違いは2点あり、1点目は報酬や賃金の支払いが発生する際に、払う側払われる側の関係が労使関係であるか否かということです。賃金は労働契約があることを前提に労働の対償として、使用者から労働者に与えられるもののことをいいます。

 

報酬はその関係に限りません。

「報酬」については、雇用契約、委任契約、請負契約、どのシーンでも使用される言葉です。

 

民法第632条(請負)や第10節の委任における第648条(受任者の報酬)では、「役務(サービス)の提供に対する対価を報酬と考える」とあります。

会社法第330条では、「役員報酬は委任契約における報酬であり、経営者に対する報酬と考える。株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」とあります。

つまり民法上の報酬は、労働者に限定することなく、請負や委任として役務の提供に対して支払われるものとして認識されていることになります。

 

もう一点、「賃金」が主に労働法の分野で使われることに対し、「報酬」は社会保険分野で使われるという違いがあります。

健康保険や厚生年金保険では、国民の生活の安定と福祉の向上という目的を持っていることから、社会保障としての仕組みとして保険料を計算するために「報酬」と定義しています。

この社会保険の分野における「報酬」とは、保険料を計算するために定義されるものであり、健康保険法第3条5項では、「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と定義しています。

また、臨時に受けるもの及び三月(3ヶ月)を超える期間ごとに受けるものは、この限りではないと、報酬と賞与は区別して定義されています。以上については厚生年金保険法も同様の定義です。

 

さらに社会保険の分野では、会社役員も会社に適用事業所に使用される者として扱われます。そのため、役員は常時使用される者である以上、社会保険の被保険者となり、役員報酬はすなわち健康保険法・厚生年金保険法上の報酬である、と定義づけられます。

 

このように、普段何気なく使っている言葉でもひも解いていくと、意味合いが異なることがお分かりいただけたかと思います。

 

給与計算実務でも意味の違いを認識して行うと、視野が広がるかもしれません。

 

いかがでしたでしょうか?

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