住民税の控除
本記事では、給与計算における住民税の取り扱いついて説明します。
住民税は個人だけではなく法人にもかかりますが、今回は個人の所得にかかる個人住民税に焦点を当てて解説していきます。
住民税とは何か
住民税とは、都道府県や市区町村が行う行政サービスを維持するため、必要な経費を分担して支払う税金の事で、それぞれ住んでいる都道府県と市区町村に納めます。
住民税を納める先は、その年の1月1日時点で住民票を置いている自治体です。
税額に関しては、前年の1月1日~12月31日までの所得額から算出されます。
住民税の徴収方法
住民税には以下2通りの徴収方法があります。
■普通徴収:納税義務者が自身で住民税を納付する方法です。
個人事業主やフリーランスのほか、アルバイト、パートタイマー等のうち特別徴収が適用されない人が該当します。
■特別徴収:従業員を抱える企業が毎月の給与から住民税を控除し、納税者本人に代わって一括納付する方法です。
特別徴収 納付開始までの流れ
企業が住民税の特別徴収を行うための大まかな流れは以下の通りです。
- 事業所が毎年1月31日までに従業員の住民票がある市区町村へ「給与支払報告書」を提出する
- 市区町村が従業員の住民税を算出する
- 市区町村が5月31日までに納税通知書を事業者へ送付し、事業者は個人用住民税通知書を従業員へ配布する
- 事業者は決定した住民税額を、従業員の毎月の給与より控除し税金を徴収する
- 事業者は給与支払日の翌月10日(10日が休日の場合は翌営業日)までに、徴収した住民税を対象の市区町村へ納付する。
従業員の入退社がある際の注意点
従業員の入退社があった場合、特別徴収又は普通徴収に切り替える手続きが必要となります。
以下にポイントをまとめます。
■入社があった場合
・新卒の場合
→前年度の所得がないため初年度の給与から住民税の控除はありません。2年目の6月以降住民税の控除が発生します。
・中途入社の場合
■前職から「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を受け取っている場合
└上記書類の「転勤等による特別徴収届出書」部分を記載し、市町村に提出します。
■前職から「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」受け取ってない場合
└「特別徴収への切替依頼書」を作成し、従業員の普通徴収納付書に記載の通知番号や年税額等を記入のうえ市区町村に提出します。
※提出してから切替のタイミングや手続き方法等、市区町村ごとに異なるため注意が必要となります。また、普通徴収から特別徴収への切替においては、市区町村により電話で手続きができるケースもあります。不明点がある場合は該当の自治体窓口へ問い合わせるのが確実です。
■退職がある場合
「住民税特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を退職した日の翌月10日までに市町村に提出します。
1月1日から5月31日の間に退職した従業員については、企業は退職日から5月までの住民税を、退職月の給与退職金から一括徴収するのが原則の流れです。
それ以外の期間に退職した場合は、本人の申し出がある場合には一括して最終給与より控除、申し出がない場合は普通徴収の方法によって本人が納める事になります。
年金からの住民税控除
2009年10月支給分から、年金から住民税が引かれる特別徴収が行われるようになりました。
以下条件に該当する場合、一部例外を除き年金から住民税が特別徴収されます。
・その年の4月1日時点で65歳以上であること
・年金額が18万円以上である事
また、年金からの特別徴収については、個人が徴収方法を選択する事は出来ず、一律で特別徴収にて控除されます。
ここで、給与からも年金からも住民税が控除おり、2重課税にならないかお問合せをいただく事がありますが、年金から控除される住民税はあくまでも支払われる年金にかかる分のみであり、そのほかの所得がある場合はその所得に対する住民税を支払う必要があります。
つまり、1年間の住民税額を年金に対する住民税とその他所得に対する住民税との2つの徴収方法に分けて納めているだけですので、2重に支払っているという事はありません。
まとめ
従業員の住民税は事業主が個人に代わって納付するため、正しい金額やタイミングで給与から控除をする必要があります。
住民税について正しく理解し、実務に取り組みましょう。
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