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知っておきたい現物給与

   

 

「現物給与」とは、その名の通り「現金で支給しない給与のこと」を言います。

例えば、「社員寮などがある会社の食費」や「社宅の貸与」「制服」などがあげられます。

 

しかし、給与計算において、実際に現物給与はどのように取り扱いがされているかあまり把握できる機会が少ないと思います。

 

今回は、現物給与の具体的な取り扱いについて、解説いたします。

 

 

【所得税の取り扱い】

改めて、現物給与とは、金銭以外の物(経済的利益を含む)で、品物や権利などを無償又は低下額で貸与・提供した場合に与える利益をいいます。

 

現物給与は原則として給与所得になりますが、一定のものについては、非課税とされます。

非課税となる現物給与の代表的なものが、食事の支給や社宅の貸与があります。

 

 

◆食事の支給

次の2つの要件をどちらも満たしていれば、非課税となります。

 

①食事の価額の半分以上(50%相当額以上)を本人が負担していること

②実際の食事の価額から本人が負担している額を控除した残額が1カ月あたり「3,500円以下(※)」であること

 

この要件を満たさない場合は、実際の食事の価額から本人が負担している額を控除した残額が給与として課税されます。

 

※3,500円以下であるかどうかの判定は、消費税および地方消費税の額を除いた金額かつ、

円未満の端数が生じた場合は切り捨てとなります。

 

≪例≫

・1カ月当たりの食事の価額:5,000円

・本人負担:2,000円

 

⇒①の条件を満たしていないため、差額の3,000円が給与として課税されます。

 

 

◆社宅の貸与

無償で貸与する場合や、家賃料相当額(※)の50%未満しか使用料を徴収していない場合は、経済的利益があるとして課税対象となります。

 

一方で、家賃料相当額の50%以上を受け取っていれば、非課税扱いとなります。

 

※補足:家賃料相当額とは?

次の①~③の合計額をいいます。

 

①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

②12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平行メートル))

③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

 

≪家賃料相当額の例≫

・家賃料相当額:10,000円

 

⇒1.無償で貸与する場合:10,000円が給与として課税

2.本人負担が3,000円の場合:差額の7,000円が給与として課税(50%未満のため)

3.本人負担が6,000円の場合:差額の4,000円は給与として非課税(50%以上のため)

 

 

【社会保険の取り扱い】

社会保険料を決めるための、標準報酬月額には現物給与も含めて計算します。

その「現物給与の価額」は厚生労働大臣が定めることになっており、地方により価額も異なります。

 

                                                                                                      日本年金機構HPより

◆食事の支給

①自己負担額がない場合:現物給与の価額がそのまま給与とみなされます。

②現物給与の価額の「3分の2相当額以上」を食事として徴収している場合には、現物給与ではないとされ、報酬月額には含まれません。

③「3分の2未満」の場合には、現物給与の価額と自己負担額の差額が現物給与とされ、報酬月額に含まれます。

 

≪例≫

・事業所:北海道

・支給内容:月20日・昼食のみ

・徴収額:1食当たり70円

 

(現物給与の価額:270円-徴収額:70円)×20日=4,000円

⇒4,000円が現物給与とされ社会保険料算定の基となる報酬月額に含まれます。

 

 

◆住宅の貸与

食事の支給とは異なり、3分の2相当などの基準はなく、「畳1畳当たりの単価」が設定されています。

 

住宅の価額については、労働者の居住地ではなく、被保険者に対する給与の管理がなされている適用事業所の所在地で決定します。

 

≪例≫

・事業所:北海道

・貸与内容:住居用の部屋10畳

・徴収額:家賃5,000円

 

①(現物給与の価額:1,110円×畳10畳)=11,100円

②住宅の価額:11,100円-徴収額:5,000円=現物給与:6,100円

⇒6,100円が現物給与とされ社会保険料算定の基となる報酬月額に含まれます。

 

 

まとめ

現物給与の価額は、毎年4月1日に更新されるため、計算時には注意が必要です。

また、それぞれの算定方法にも条件があるため、正しい処理を行えるようしっかりと理解しましょう。

 

 

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