給与計算業務の流れと年間スケジュールについて
今回の記事では、給与計算業務における具体的な流れと年間スケジュールについて紹介します。
毎月の給与計算の流れ
まずは毎月の給与計算・給与支払いの流れについて、会社の給与計算担当者が行う給与計算の流れについて紹介します。
以下の4つの手順に分けて解説します。
- ・給与の締め日までの業務
- ・給与の締め日の業務
- ・給与の支給日までの業務
- ・給与の支給と保険料・税金の納付
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給与の締め日まで業務
入社および退社する従業員について人事情報を収集し、整理しておきましょう。
従業員の結婚や出産、転居が発生する場合は、給与計算に関連するため、情報を収集し、整理しておくことが必要です。
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給与の締め日の業務
タイムカードで管理している場合は、当月に支払う期間の勤怠情報をとりまとめ、労働時間や日数を確認した後、勤怠情報の打刻漏れや2重打刻されているものなど修正点がないか確認しましょう。
会社で勤怠管理システムを導入している場合についても、勤怠情報に不備が無いか確認し、場合に応じて修正する必要があります。
全従業員の全労働日について、勤怠情報がそろった時点で、給与計算を開始できます。
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給与の支給日までの業務
給与支給日までの業務として、まず整理した勤怠情報をもとに、給与計算を行います。
給与計算の大まかな流れは次の通りになります。
給与計算は、総支給額を計算した後、社会保険料として「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」の各保険料を控除し、さらに住民税・所得税を控除します。
もし労使協定で定められている控除があれば反映します。
労使協定による控除の例として、労働組合費や社宅などの福利厚生施設の利用費、財形貯蓄などが含まれます。
計算した総支給額から、雇用保険料を含む各種社会保険料および住民税・所得税、労使協定で定められている額を控除し、差し引き支給額を計算します。
正しく給与計算を行うためには、給与担当者は労働基準法や健康保険法、厚生年金保険法、最低賃金法、所得税法、雇用保険法など、多くの知識が必要となるため、要点を押さえて給与計算する必要があります。
給与計算の後は従業員への給与の振込み業務を行います。
従業員への給与の支払方法としては、原則は直接払いですが、多くの会社では例外として認められている金融機関を通じての振込みで行っています。
給与支給日に間に合うように振込手続きを行いましょう。
振込み手続きとしては、書面やデータなど指定のフォームを金融機関に持ち込むか、あるいはインターネットバンキングで振込む方法があります。
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給与の支給と保険料・税金の納付
給与振込み後の業務として、給与明細を従業員へ配布し、各種社会保険料と所得税、住民税を納付します。
社会保険料は年金事務所から送られる「納入通知書」をもとに月末までに納付します。
口座振替設定をしている会社は、月末に指定した口座から社会保険料が引き落とされます。
また、所得税や住民税などの税金は、翌月10日までに税務署へ納付します。
給与計算・社会保険事務および年末調整業務の年間スケジュール
4月から6月の給与計算と社会保険・雇用保険事務
4月は新入社員が最も多く入社する時期なので、それに伴い社会保険と雇用保険の資格取得手続きを行います。
令和5年度の協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率は、令和5年3月分(4月納付分)から料率変更があるため、都道府県ごとの新しい料率を確認し、正しく控除しましょう。
健康保険や厚生年金保険の資格取得手続きは入社から5日以内、雇用保険の資格取得手続きは入社した日の属する月の翌月10日までに行います。
6月は、毎月の給与から徴収する住民税の額が変更されます。
前年に所得がない新卒の新入社員等については、住民税額は発生しないため、住民税の手続きはありません。
市町村から通知される住民税の額を給与に正しく反映しましょう。
7月から9月の給与計算と社会保険事務
毎年7月10日までに、毎年7月1日現在で使用している全被保険者の3カ月間(4月、5月、6月)の報酬月額を算定基礎届により届出し、標準報酬月額の決定を行う手続き(定時決定)があります。
決定し直された標準報酬月額は、9月分から翌年8月分までの各月に適用されます。
また、夏の賞与を支給する場合は、賞与の社会保険料を控除する必要があります。
10月から12月の給与計算と社会保険事務および年末調整業務
7月の定時決定による標準報酬月額に基づいた保険料は9月分の保険料から反映されるため、10月に支給する給与から控除します。
11月~12月は、月々の給与や賞与から控除してきた所得税の過不足を調整する年末調整業務が発生します。
所得税の過不足を調整額は、12月に支給する給与に反映する場合は12月の給与計算時に反映し、1月に支給する給与に反映する場合は1月の給与計算時に正しく反映しましょう。
この他、冬の賞与を支給する場合は、賞与の計算事務が発生します。
1月から3月の給与計算と社会保険事務および年末調整業務
1月は給与所得の法定調書を税務署に、給与支払報告書を市町村に報告する業務があります。
3月は退職者が最も多く発生する時期なので、退職金の計算や社会保険・雇用保険の資格喪失手続きが発生します。
まとめ
ここまで、毎月の給与計算業務の流れと、給与計算・社会保険事務および年末調整業務の年間の流れをご紹介しました。
給与計算は、勤怠の確認から明細書の作成、振込みといった一連の業務に時間がかかります。
給与担当者は限られた期間で正しく給与を計算する必要があるため、毎月の給与計算業務の流れや年間のスケジュールを改めて確認し、余裕をもって業務をすすめましょう。
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