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欠勤控除の方法と端数処理

   

 労働者が欠勤をした場合、多くの会社では欠勤控除をしていると思います。ノーワークノーペイの原則に基づき、労働義務がある日に欠勤をした場合、使用者は労働がなかった時間についての賃金を支払う必要がないというものです。みなさんの会社ではどのように欠勤控除の計算をしているでしょうか。労基法には欠勤の場合の控除額計算方法について規定がありません。そのため、就業規則上で計算方法等の具体的な運用について明記しておく必要があります。今回は、欠勤控除の方法についていくつかご紹介をしていきたいと思います。

  • ①該当月の所定労働日数を使用する方法

【(月給額÷該当月の所定労働日数)×欠勤日数】

⇒その月に働くべき日数をカウントした上で計算が必要です。

 月によって所定労働日数が異なるため、欠勤控除額も毎月変動します。

 

  • ②年平均の所定労働日数を使用する方法

【(月給額÷平均所定労働日数)×欠勤日数】

⇒年間の休日日数がわかれば、平均所定労働日数が算出できます。

 月給額に変更がない限り、欠勤控除の日額が変わりませんので計算はしやすいです。

 この方法を取っている会社が多いと思います。

 ただし、年平均の所定労働日数が21日の場合、該当月の所定労働日数が22日で欠勤を21日したとすると、1日勤務したにも関わらず、月の給与額と欠勤控除額が等しくなり支払う給与がなくなってしまうケースがあります。

 その場合には、「〇日以上欠勤をした場合は、日割り計算に切り替える」という方法を就業規則等に定めておくことも可能です。

 

  • ③暦日を使用する方法

【(月給額÷該当月歴日数or平均歴日数)×欠勤日数】

⇒月平均の暦日数もしくは、該当月の暦日数を使用して日給を算出する方法です。

 分母の数が大きくなるため、欠勤控除の額が少額になり労働者有利になります。

 この計算式を使用している会社はあまりないかもしれません。

 

上記方法以外にも、欠勤控除の方法はあると思います。

また、欠勤控除の対象となる賃金にも規定はありません。そのため、控除の対象となる手当についても就業規則に定めておく必要があります。定めがない場合、トラブルになる可能性もありますので注意しましょう。

欠勤控除における端数処理については、原則切り捨てとするのがよいと考えます。端数を切り上げてしまうと、欠勤していない時間分までも控除してしまう恐れがあり、労基法24条の賃金の全額払いの原則に反する可能性があります。

給与計算をする上で、端数処理については、支給額の端数は切り上げもしくは四捨五入、控除額の端数は切り捨てとするのがよいと考えます。

以下、端数処理に関する通達文書です。

 

「賃金計算の端数の取扱い」

(昭和63年3月14日 基発第150号より)

賃金の計算において生じる労働時間、賃金額の端数の取扱いについては次のように取り扱われたい。

1 遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理

5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするというような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金の全額払の原則に反し、違法である。なお、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、法第91条の制限内で行う場合には、全額払の原則には反しないものである。

 

2 割増賃金計算における端数処理

次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わない。

(1) 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。

(2) 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。

(3) 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、(2)と同様に処理すること。

 

3 1か月の賃金支払額における端数処理

次の方法は、賃金支払の便宜上の取扱いと認められるから、法第24条違反としては取り扱わない。なお、これらの方法をとる場合には、就業規則の定めに基づき行うようにされたい。

(1) 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。以下同じ。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと。

(2) 1か月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと。

 

この通達に記載されている通り、事務簡便化を目的とした端数処理の方法も認められているため給与計算をする際には一度端数処理方法を確認しておくとよいでしょう。上記通達の2-(1)のように時間単位の処理方法もあります。

支給、控除どちらも計算上で注意点がありますが、これらを知っておくと従業員もしくは関与先のお客様から質問を受けた際、法令に則って計算をしていることを伝えることができれば給与計算担当者としての信頼度がアップすること間違いなしです。

私たちAimペイロールエージェンシーは、お客様の信頼度・満足度を高められるよう日々給与計算業務に真摯に向き合っております。

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