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給与計算ミスの原因と対策

   

従業員にとって、給与は正しく振り込まれるのが当たり前という前提があるため、計算のみならず振込みについてもミスや遅れはあってはならないものです。給与計算の仕事の難しさのひとつは、ミスが許されないというプレッシャーの重さとも言えるでしょう。

そこで今回は、給与計算で生じるミス、その原因と対策について考えてみたいと思います。

 

 

給与計算のアウトソーシングを検討中の会社様とのお話合いで、次のようなお話をよくいただきます。

 

「給与計算を担当してくれていた従業員が退職するが、引き継ぐ者がいない」

「給与計算に割く時間がない(または減らしたい)」

「給与担当者に社内全員の給与額や個人情報を知られてしまうのは避けたい」

「計算そのものが合ってるかどうか自信がない」

「社員の給与をどう決めたらいいかわからない」

「給与ソフトを導入したが、設定の仕方がよくわからない」

 

思い当たる会社様も多いのではないでしょうか。

興味深いことに、給与計算で起こりうるミスやトラブルは、上であげたお悩みに直接起因していることも多いのです。

 

 

給与計算ミスの原因を集約すると、大体以下の理由になります。

 

まず、考えられるのは、給与情報連携を行う環境が整備されていないことや、計算が複雑であることです。

例えば、「特定の項目や手当などにミスが集中する」のであれば、その項目の計算手順が複雑だったり、手当の種類が多すぎるのが原因かもしれません。

逆に「どの項目ということではなく、いろいろなミスが不確定に発生する」ならば、給与計算を行うために必要な情報が期日まで正しく連携されていないこと、給与スケジュールがタイトすぎたり、担当者のスキル不足を疑うべきだと思います。

 

上記のように様々な要因があるにも関わらず、多くの会社では給与計算ミスが多発するとどうしても「担当者のスキル」のみを問題視して様々な策を講じがちです。

 

例えば、以下のような対策です。

 

・人員を増やす(ダブルチェック)

・高機能な給与計算システムを導入する

 

上の二つは、費用対効果を考えると一足飛びに決断するのは拙策といえます。

この「人員を増やす」「システムを導入する」は、いずれも最終手段であって、給与制度、スケジュールの組み立て、情報の連携が適切であればこそ効果を発揮する対処方法なのです。

 

そこで給与計算ミスを減らすために、おすすめする施策は次の5つです。

 

 

1 情報の一元管理

従来のように、社員から上がってくる情報が、部署別に書類で管理されていたり、部署別に異なる形式のタイムカードを集計して・・・という作業は非効率かつミスの温床です。

給与システムにお金をかける前に、まずは、正確な情報が社内で一元管理できるような体制を整えることが効果的かもしれません。今は勤怠管理ソフトやアプリなど、比較的安価なサービスが多くありますので、上手に活用しましょう。

 

2 給与計算のマニュアル化

給与計算のプロセスを明文化することも重要です。ヒューマンエラーを減らすには、担当独自の暗黙の判断や、属人的なプロセスをできるだけ排除するのが理想です。

わかりやすいマニュアルを作成し、誰が行っても同じ結果が出る仕組みづくりを目標にしましょう。

 

3 スケジュールに余裕をもたせる

給与締めから支給日の間隔は20日以上が理想と考えます。

多くの会社が、20日払、25日払いをしているのは決して偶然ではなく、このスケジュールが妥当だからといえます。

給与計算のスケジュールを見直すのは簡単なようで難しいのですが、10日払い、15日払いであっても、末締めだった締日を前倒して、同様に20日以上の間隔を確保している会社も多数あります。

 

4 給与情報の取りまとめ期限を厳格化する

仮に20日以上の計算期間が設定されていても、給与計算を行っている最中に修正連絡が何度も来るようであれば、あっという間にスケジュールは逼迫します。

こうなると、担当者にプレッシャーをかけるばかりか、「万が一」があったときの猶予期間がなくなり、結果として計算ミスの温床になります。また、充分なチェック時間が取れないために、ミスに気付きにくくなります。

 

5 給与計算ルールをシンプル化する

会社規模に関わらず、非常に複雑な手順や計算を伴う給与制度を設けている会社は意外と多く、その場合給与制度そのものの見直しが効果的な場合があります。

例をあげると、交通費の支給について、毎月の通勤ルートに応じて支給を判断するというケースや、その日の現場作業内容に応じた日当が数種類支給されたり、月のガソリン価格情報を元に手当計算している等も集計の負担が大きいものです。

 

1から5を総括すると、会社が良かれと思って設計した制度や風習が、結果的に給与計算ミスを誘発しているケースがあることがわかります。

経営者様にお話を伺うと、「締め日から支給日までは早いに越したことはない」「手当を多くつけることで社員のモチベーションアップにつながるし求人募集率があがる」などの意見が出たりします。

しかしそれが複雑な計算を伴う場合、間違った計算や振込の遅れが発生してしまうと、致命的に信用度が下がるリスクがあることも考慮すべきではないでしょうか。

 

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