給与計算における住民税のポイント|納付方法と計算方法について
住民税とは
住民税は地方税であり、地域社会で必要となる費用を住民で分担するために徴収されます。
市町村民税と都道府県民税を合わせたものです。
住民税はほとんどの人に課税されますが、専業主婦や学生などで所得のない場合、生活保護受給者、前年の所得が一定金額を下回った場合など、非課税となることもあります。
住民税はその年の1月1日に居住している市町村で課税されます。
1月1日以降に転居し、住民票を移動させても、1月1日の段階で住民票があった地域に対して納める必要があります。
住民税の納付方法「普通徴収」と「特別徴収」
住民税には以下2つの徴収方法があります。
・普通徴収
・特別徴収
普通徴収は、納税通知書を用いて納税者本人が納税をする方法です。
主にフリーランスや個人事業主などの特定の事業所に勤めずに収入を得ている住民が該当します。
特別徴収は、会社が毎月の給与から住民税を徴収し、従業員である納税者本人に代わって各市町村に納付する方法です。
特定の事業所と雇用関係がある給与所得者が該当します。
住民税が決まる時期
住民税は各自治体により算出され、毎年5月ごろに納付者に対して通知されます。
普通徴収の場合は個人宛てに、特別徴収の場合は会社宛てに納付書が送付されます。
特別徴収は6月の給与から1ヵ月ごとに天引きされ、一方普通徴収では、納付書の期日までに3ヵ月ごとに納付します。
普通徴収は、年の途中で退職したケースなど、場合によっては1ヵ月分ごとの納付となることもあります。
住民税の計算方法
住民税は、「所得割額」と「均等割額」の合計額で算出されます。
所得割額の計算
所得割額は、前年の1月から12月までの所得金額を以下の式に当てはめて算出されます。
住民税の所得割額=課税所得金額×所得割税率(10%)− 税額控除額等
(注)端数の切捨て…課税所得金額は1,000円未満の端数を切り捨てます。さらに所得割額は100円未満の端数を切り捨てます。
詳細な計算方法は以下の通りです。
① 総所得金額等を計算する
→各種所得の金額を合計し、総所得金額を算出します。
② 所得控除額を計算する
③ 基礎控除、配偶者控除、扶養控除、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除を計算する
④ 課税総所得金額を計算する
⑤ 税率をかけて税額を計算する
⑥ 課税所得金額に、市町村民税は6%、都道府県民税は4%を乗じて計算する。こちらは市町村によって異なります。
⑦ 税額控除額等を計算する
⑧ 調整控除額、配当控除額、住宅借入金等特別税額控除額、寄付金税額控除額及び配当割額・株式等譲渡所得割額の控除額を計算し、算出税額から控除する。
均等割額について
均等割額は、すべての住民に等しい額で課せられる税金です。
所得金額の大小にかかわらず定額で課税されます。
また、平成26年度から令和5年度までの10年間については、東日本大震災復興基本法の定めによって、臨時的に個人住民税の均等割の標準税率が各々500円ずつ引き上げられており、標準税率は、市町村民税3,500円、道府県民税1,500円と定められています。
住民税は、全ての市町村で同じ方法により算出され、標準税率という制度があるため、基本的にはどの市町村で課税されるとしても住民税額は同じ金額となります。
一部、均等割額と所得割額の算定において、標準税率ではない税率を使用している市町村があるため、仮に同じ所得であったとしても多少異なる場合があります。
詳細は、各市町村の住民税の計算方法をご参照ください。
住民税の納付期限
普通徴収では、1年分の住民税を4分割して納付します。
通常、6月、8月、10月、1月の末日までの4回、各市町村から送付される納付書で指定された納付期限までに指定された金額を納付する必要があります。
また、一括で納付することも可能です。
特別徴収の場合は、天引きした住民税は、翌月10日までに市町村に納付します。
まとめ
給与担当者は住民税の計算方法や納税方法、期限などをしっかりと把握しておく必要があります。
住民税を特別徴収で納付する場合や従業員の入退社時には地方自治体へ書類を提出しなければなりません。
これらも正しく作成・手続きするようにしましょう。
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