振替休日と代休
振替休日と代休の違いは何かと問われた際に、しっかりと回答ができますでしょうか。
振替休日と代休の違いは、労務管理に影響します。知らずに運用していると労働基準法違反に問われるリスクがあります。それぞれの意味や要件、賃金の支払い、雇用する側から見た注意点についてわかりやすく整理しておくことが必要です。
◇意味の違い
【振替休日】
予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となります。従って、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
【代休】
休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。
◇要件の違い
【振替休日】
- 就業規則などに振替休日の規定をする
- 振替日を事前に特定する。
- 振替は近接した範囲内とする。
- 遅くとも前日の勤務時間終了までに通知をする。
【代休】
要件はとくになし。
制度として行う場合、就業規則などに代休を付与する条件、賃金の取扱いといった具体的な記載が必要となる。
◇賃金の違い
【振替休日】
同一週内で振り替えた場合、通常の賃金の支払いでよい。
週をまたがって振り替えた結果、週法定労働時間を超過した場合は時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要となる。
【代休】
休日労働の事実は変わらないので、休日労働に対する割増賃金の支払いが必要。
代休日を有給とするか無給とするかは、就業規則などの規定による。
◇計算例
※所定休日は土曜日、日曜日とする
【振替休日】
(1)1週目の日曜日に出勤し、あらかじめその週の水曜日を振替休日とした場合
1週目 |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
所定労働時間 |
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8 |
8 |
(8) |
8 |
8 |
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所定外労働時間 |
8 |
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振休 |
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所定休日の日曜日に出勤をしていますが、その週の水曜日に振替休日を取っています。したがって、週の総労働時間は40時間以内に収まっているため、割増賃金の支払いは必要ありません。
(2)1週目の土曜日に出勤し、あらかじめ翌週の水曜日を振替休日とした場合
1週目 |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
所定労働時間 |
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8 |
8 |
8 |
8 |
8 |
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所定外労働時間 |
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8 |
2週目 |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
所定労働時間 |
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8 |
8 |
(8) |
8 |
8 |
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所定外労働時間 |
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振休 |
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1週目の土曜日に出勤しているので、この段階で1週48時間となり週40時間を超えています。したがって、1週目の土曜日の出勤に対しては割増賃金(1.25)の支払いが必要です。
また、2週目の水曜日に振替休日を取っていますので、労働日数はマイナス1日となります。結果、1週目の土曜日の割増賃金は0.25分の支払いが必要となります。
【代休】
2週目の日曜日に出勤し、その週の水曜日を代休とした場合
1週目 |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
所定労働時間 |
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8 |
8 |
8 |
8 |
8 |
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所定外労働時間 |
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2週目 |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
所定労働時間 |
8 |
8 |
8 |
(8) |
8 |
8 |
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所定外労働時間 |
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代休 |
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2週目の日曜日に出勤しています。この段階で、所定休日出勤となります。したがって、2週目の日曜日の賃金は、1.25分の支払いとなります。また、その週の水曜日に代休を取っています。したがって、労働日数はマイナス1日となり、結果割増賃金は0.25分の支払いが必要となります。
これまで説明をしてきた通り、振替休日と代休は全く違うものであり給与計算をする際は注意が必要です。また、振替休日については就業規則に定める必要があるため定めがない場合は、休日労働の代わりの休みをつくるには代休にするしかないということです。
賃金未払いとならないためにも、就業規則の再確認や新たに規定を定める等対策をしておく必要があります。
割増賃金の計算方法や、就業規則等についてご心配ごとがございましたら一度Aimパートナーズへご相談ください。
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