雇用保険の失業等給付(基本手当)の受給と扶養の関係|基本手当日額の基準も解説
本記事では、雇用保険における基本手当(以下、基本手当)を受給する場合の扶養の資格継続および脱退の条件について、基本手当日額の基準も含めて解説します。
基本手当を受給した場合は扶養に入れるか
退職後、基本手当を受給する場合に、扶養に入れるかどうかについて、そもそも扶養には、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があるため、それぞれについて見ていきたいと思います。
※2023年9月29日現在、「年収の壁・支援強化パッケージ」について政府から正式に発表されましたが、詳細は別の機会に取り上げることとします。
税制上の扶養とは?
年収が103万円以下の場合には、税制上の扶養となることができ、所得税が課税されません。
この所得税法上の扶養に関しては、扶養控除と配偶者控除(配偶者控除が受けられない場合は配偶者特別控除)があり、扶養親族の範囲には、配偶者は含まれません。
しかし、いずれの場合においても、年収が103万円以下の場合には、所得税の課税がされないことには変わりありません。
そして、雇用保険法では、失業手当は非課税となっているため、基本手当を受給したところで、年収(所得)が上がるわけではないので、その年の給与所得が103万円以下の場合には、税制上の扶養から外れるわけではありません。
所得税法上では、年収の考え方は、その年の1月から12月までの収入ということに注意が必要です。
社会保険上の扶養に入れるかどうかは基本手当の日額による
社会保険上の扶養においては、被扶養者が、雇用保険の基本手当を受給した場合には、原則として、被扶養者としての資格が取消しとなりますが、ある一定の基準を満たせば、基本手当を受給した場合においても、扶養に入り続けることができます。
まず、社会保険上の扶養は、見込年収が130万円未満(ただし、60歳以上又は障害者の場合には、180万円未満)という条件があります。
また、税制上の扶養と異なり、基本手当の受給額は、社会保険上では、収入に含まれます。
基本手当を受給した場合に、社会保険上の扶養に入り続けられるかどうかは、年収130万円未満であることは間違いないのですが、基本手当を受給する時にもらえる基本手当日額がいくらかによって決まります。
その基準となる金額は、1日あたりの受給金額が「3,612円未満」であれば扶養に入ることが可能となります。
例えば、基本手当日額が3,612円未満の場合、年収130万円未満とみなされ、被扶養者資格を継続することができます。
一方、基本手当日額が3,612円以上の場合、被扶養者資格は取消しとなり、被扶養者になれない期間は、基本手当受給開始日から、基本手当受給終了日の翌日までとなります。
つまり、基本手当日額(3,612円以上)が支給されている期間中は、社会保険上の扶養から外れることとなります。
基本手当の受給終了後に被扶養者の認定を受けようと考えている場合には、上記の期間を過ぎてから、改めて被扶養者の認定手続きが必要です。
なお、改めて被扶養者の認定手続きを行う場合には、基本手当受給終了日の翌日から30日以内に手続きを完了させる必要があります。
また、扶養に長く入り続けられるかどうかは、給付制限期間があるかどうかによっても異なります。
会社都合退職である場合には待期期間(7日間)まで、自己都合退職の場合は待期期間(7日間)および給付制限期間までは扶養に入ることができ、その後は基本手当を受給するという流れになります。
※ただし、保険者によっては、給付制限期間中であっても扶養には入れない場合もあるので、事前に確認する必要があります。
まとめ
今回は、雇用保険の基本手当を受給する場合の扶養の資格継続および脱退の条件について、基本手当日額の基準も含めて解説しました。
従業員の扶養家族が基本手当を受給するような場合は、社会保険上の扶養脱退の手続きが発生する可能性がります。基本的な事項を改めて確認しておきましょう。
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