給与明細の見方
株式会社Aimペイロールエージェンシーです!
1年間を通して、比較的入社の多い4月。
残りわずかとなり、来月には、初めての給与明細を目にする方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
会社によってさまざまな手当や控除があり、差引支給額(手取り額)以外は、
じっくり見たことはないという方もいるかもしれません。
今回は、給与明細の見方について、解説したいと思います。
目次
1.勤怠項目
2.支給項目
3.控除項目
4.まとめ
給与明細は、大きく分けて以下の3つの項目に分かれています。
①勤怠項目
②支給項目
③控除項目
給与明細は会社ごとに異なりますので、②と③が大きく1つにまとまっている場合や、
①の欄がほとんど空欄ということもあるかと思います。
手元にある場合は、ぜひご自身の給与明細を用意して、1つずつ見ていきましょう。
1.勤怠項目
勤怠項目とは、その月の給与計算期間における、
ご自身の勤務状況が記載されています。
出勤日や欠勤日、残業時間、遅刻早退時間などが記載されていますが、
その中でも特に注意して見るべき欄は、有給残日数です。
有給は、賃金締日までに使用した日数が記載されます。
例えば、25日締め、翌月10日支給の会社であれば、3/26〜4/25の期間に使用した有給に関しては、
5/10の給与明細に記載されます。
その為、給与明細を見て◯日使えると思っていても、
実際には4/26以降に使用した有給とのズレがある可能性があるので、注意しましょう。
2.支給項目
支給項目からは、支払われる金額の内訳を知ることができます。
基本給のほかに、各種手当が記載されています。役職手当、資格手当、住宅手当、
通勤手当、残業手当、深夜勤務手当、法定休日手当などです。
また、総支給額が支給項目の1番後ろに載っていることもあります。
【通勤手当】
先日の解説を見ていただくと分かりますが、非課税通勤手当と課税通勤手当がある点に
注意が必要です。一般的に、15万円を超えると所得税の課税対象となる為、
注意しましょう。
【残業手当】
雇用契約で定められた就業時間以外の時間外労働(残業時間)に対する手当のことです。
原則1分単位で計算されています。
労働基準法により、割増率は最低2割5分と定められていますが、会社によって
それ以上の割増率を用いる場合もあります。以下の計算式に当てはめて、
金額に誤りがないか確認しましょう。
まず時間単価を出します。
基本給÷所定労働時間=時間単価
※時間単価の算出は会社によって違います。平均所定労働時間を用いて
算出している場合もありますので、賃金規程を確認しましょう。
残業手当=時間単価×1.25×残業時間
いかがでしょうか。固定残業手当がある会社ですと、
この金額が固定残業手当に収まっているかどうかの確認も重要となります。
【深夜勤務手当】
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、深夜とは、22時から翌朝5時までを
指します。この時間に勤務した時間分の手当のことです。
こちらも残業と同じく2割5分の割増率で計算されます。
すなわち、残業と深夜勤務が重なると5割の割増率で計算されます。
【法定休日手当】
法定休日とはあまり聞きなじみのない言葉かもしれません。
現在は、週休2日の会社が一般的に多いかと思いますが、例えば土日が休みの会社であれば、
いずれか1日は所定休日といい会社が定めた休日にあたり、
もう1日が法定休日(労働基準法により定められた休日)にあたります。
この法定休日に働いた場合、割増率が3割5分になるため、
項目が分けられていることが一般的です。
例えば、出勤簿等を参照し、日曜日から土曜日まで働いていれば、
7連勤目に該当する土曜日の分が上記割増率で計算されます。
3.控除項目
【健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料】
これらの社会保険料は、総支給額3ヶ月分の平均値(標準報酬月額といいます)を保険料率と乗じて計算します。
全国健康保険協会(協会けんぽ)であれば、標準報酬月額を保険料額表と照らし合わせ、
自身の等級の欄を見ると、保険料が分かります。
標準報酬月額が決まるタイミングは、主に以下の3回です。
- ①資格取得時決定
- ②定時決定
- ③随時改定
- 資格取得時決定
入社時などに、今後支払う給与の額により決定します。これを、資格取得時決定といいます。
適用期間は、資格取得時(入社日等)によって異なっており、1月1日~5月31日である場合は、
その年の8月まで、6月1日~12月31日である場合は翌年8月までとなります。
- 定時決定
標準報酬月額の見直しは7月1日時点で、被保険者である人が対象となります。
被保険者ごとに4・5・6月の3か月分の給与の平均額を計算して、等級にあてはめ、
新たな標準報酬月額を決定します。定時決定により決まった標準報酬月額は、
その年の9月から翌年8月までの1年間適用されます。
- 随時改定
随時改定とは、以下の3点の要件がそろった場合に行われます。
・固定的賃金に変動があった場合、又は、給与体系の変更があった
・現在の等級より2等級以上の差がある
・変動があった月から継続した3か月の報酬支払基礎日数
(月給の場合は暦日数、欠勤があった場合には、所定労働日数から欠勤を
控除した日数)がいずれも17日以上ある
※短時間労働者の場合には、17日を11日に読み替えます。
例えば、3月の報酬月額が20万円で、4月から報酬月額が25万円になると、
2等級以上の差が生じるため、4・5・6月の3か月の報酬支払基礎日数が17日以上
であれば、7月より改定された新たな等級が適用されます。
※7・8・9月の随時改定は定時決定よりも優先して、適用されます。
また、各健康保険組合に加入している場合には、年齢などによって、
保険料が異なる仕組みになっている場合もあります。
【雇用保険料】
雇用保険料は、賃金を支払う都度、控除されるものです。
控除する雇用保険料の計算式は以下の通りです。
雇用保険料=賃金の総支給額×雇用保険料率
令和7年4月に雇用保険料率の改定が行われた為、4/1以降の給与締め日後、
支払われる給与に関しては、雇用保険料率が一般の事業においては、
5.5%、建設業では6.5%(いずれも労働者負担分)の料率が適用になります。
【所得税】
所得税は、その名の通り、所得に応じて税率が異なります。総支給額88,000円~、
扶養人数に応じて控除されるものです。年末調整において、払い過ぎがあれば
還付され、扶養人数の変更などがあり、不足している場合には、追徴する形となります。
【住民税】
住民税は、定額で課税される均等割と前年の所得に応じて課税される所得割から成ります。
これらの控除項目は、企業に控除されていると考えられがちですが、あくまでも企業は
国や市町村の事務を代行して控除している、ということも知っておくとよいでしょう。
4.まとめ
いかがでしたか。給与明細の細部まで確認することによって、支払う会社側、
受け取る労働者側の認識が異なってしまうのを防ぐことができます。
また、これらの給与明細を作成している給与計算担当者は、ここまで解説したような
内容を把握した上で計算を行っていますが、それでも人の手による業務のため、
処理を誤ってしまうこともあります。
Aimペイロールエージェンシーでは、企業の給与計算代行、WEB明細化、
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