社会保険適用拡大「8万8千円」の要件に含まれる賃金・含まれない賃金
本記事では、社会保険の適用拡大に伴い短時間労働者が被保険者になる要件としてあげられる「8万8千円」の要件について、含まれる賃金・含まれない賃金を解説します。
「8万8千円」の要件に含まれる賃金・含まれない賃金
2022年10月から被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所について、短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用要件が拡大されました。
それに伴い、短時間労働者が被保険者となる要件として挙げられる「賃金の月額が88,000円以上であること」について紹介します。
賃金の月額が88,000円以上の要件について、算定の対象となるのは基本給及び諸手当とされていますが、以下の性質をもつ賃金は算定より除外することができます。
・1月を超える期間ごとに支払われる賃金
(例:賞与など)
・時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる賃金
(例:残業手当、深夜手当、休日出勤手当など)
・最低賃金に算入しないことが定められている賃金
(対象手当:精勤手当、皆勤手当、通勤手当、家族手当)
ただし、上記の時間外労働に対する賃金について、雇用契約上では時間外労働であったとしても時間外労働が常態化している場合は算定に含める必要があるため注意が必要です。
例えば、雇用契約上では、1日5時間の所定労働時間と定めており、労働者が毎日1時間の時間外労働を常態として行っている場合は、実質的な所定労働時間は時間外労働の1時間を含めて1日6時間となり、1時間分の時間外労働分の賃金も算定とする必要があります。
そのため、雇用契約上の労働条件では月88,000円を超えていない場合であっても、時間外労働の頻度によっては社会保険の適用対象となる可能性があります。
時間外労働等が常態化している場合は、時間外労働分の賃金を必ずしも算定から除外出来るものではないため注意が必要です。
2024年10月からの対象企業
現状、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所について、短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用とされていますが、2024年10月から、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所について、短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用要件が拡大されることとなります。
まとめ
今回は、社会保険の適用拡大に伴い短時間労働者が被保険者になる要件としてあげられる「8万8千円」の要件について、含まれる賃金・含まれない賃金を解説しました。
社会保険の適用の賃金要件について正しく理解し、給与計算を行いましょう。
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