間違えやすい給与計算事例
今回は給与計算をする際、間違えやすい事例についてお伝えいたします。
普段給与計算をされている方にはおなじみかもしれませんが、定期的にミスが起こりやすいケースを振り返ることもミスを防ぐひとつの手段となります。
令和4年10月1日から制度が改正された内容もありますので、この機会に今一度確認をしていきましょう。
◆育児休業取得者の社会保険料(社会保険料は翌月徴収とする)
育児休業期間:10/15~11/5
給与締め日支払日:末締め 翌月25日払い
賞与支給日:10/30
同月の末日が育児休業期間中のため、10月の社会保険料は免除となります。
11/25支給の給与では、社会保険料は控除しません。
ただし、10/30支給の賞与では社会保険料は徴収します。
賞与は社会保険料当月徴収となります。令和4年9月までは同月の末日が育児休業期間中である場合、賞与の社会保険料は免除となっておりましたが、令和4年10月1日から法改正があり、賞与から社会保険料を免除できる要件が変わりました。
改正後の要件としては、育児休業等を1ヶ月超(暦日で計算)取得した場合のみ免除されることになっております。
したがって、10/30支給の賞与では社会保険料は免除されないことになります。
また、月額保険料についても改正があり今までの要件に加えて同月中に14日以上育児休業を取得した場合にも社会保険料の免除が可能となりました。
例えば、10/1~10/20に育児休業を取得した場合、令和4年9月までは10月分の社会保険料は免除となりませんでしたが、改正後は10月分の社会保険料は免除となります。
◆雇用保険料率改定による計算月
月給者:当月締め当月払い
時給者:当月締め翌月払い
この場合、原則10月の給与計算では月給者の雇用保険料率は5/1000、時給者の雇用保険料率は3/1000で計算をします。勤怠ソフトを使用して給与計算をしている会社が多いと思いますが、雇用保険料率を修正して計算をまわすと全ての従業員が修正後の料率で計算されてしまうので注意が必要です。
令和4年度は雇用保険料率の改定がありました。令和4年4月1日~9月30日までの期間では事業主負担率のみ変更があり、令和4年10月1日以降は被保険者負担率と事業主負担率が変更となっています。
給与計算をする上では10月1日から変更となった被保険者負担率を忘れずに変更して計算をする必要があります。令和5年度もまた改正があるかもしれませんので、その際は締日支払日に注意をして計算をしましょう。
◆時給者に固定的賃金が支給されていた場合の割増賃金の基礎単価
時給 1,200円
職務手当 10,000円
通勤手当 5,000円(距離実費に関係なく一律支給)
この場合の基礎単価は、1,200円とはなりません。
固定的賃金も含めて、単価を計算する必要があります。計算方法は以下の通りです。
(計算には月平均所定労働時間を使用/端数処理は四捨五入)
職務手当10,000÷173.8=58円
通勤手当5,000÷173.8=28円
時給1,200円+58円+28円=1,286円
残業時間が5時間発生した場合は、以下の計算となります。
1,286×1.25=1,608円
1,608円×5時間=8,040円
固定的賃金を単価に含めずに計算をしていると、残業代未払いとなってしまいます。また、割増賃金の単価には通勤手当を含めないのが一般的ですが、距離実費に関係なく支給している場合は単価に含める必要があります。単価に含めずに支給していると通達(昭和22.9.13基発第17号の通達根拠)を根拠に労基法違反で書類送検された事例がありますので注意が必要です。
給与計算は企業やそこに従事する社員のために重要かつ不可欠な業務であり、担当者は社会保険や税務知識、労務関係の法律など幅広い知識を要求されます。法改正も頻繁にあり、常に情報を漏らさず確認しておく必要もあります。毎月の計算が固定でルーティン化されている会社ほどうっかりミスも多くなる傾向にあると思います。
私たちAimペイロールエージェンシーは、定期的に基礎知識や法改正を確認し、ミスが起こりやすい事例を共有して安心して給与計算をおまかせいただけるよう日々精進しております。アウトソーシングをご検討しておりましたら、是非一度ご連絡ください。