給与所得の源泉徴収税額表と甲・乙・丙欄の違いについて
給与所得の源泉徴収税額表
源泉所得税及び復興特別所得税の額は、国税庁が毎年公開している源泉徴収税額表に基づいて求めることになります。
給与所得についての源泉徴収税額表は、「月額表」と「日額表」の2種類があります。
月額表では「甲欄」「乙欄」、日額表では「甲欄」「乙欄」のほかに「丙欄」の税区分が設けられています。
月額表は、基本的に従業員の給与が月給の場合に使用する税額表であり、変形として、半月ごと、あるいは10日ごとに給与を支払う場合も含まれます。
一方、日額表は、次のような給与を支払う場合に使用する税額表です。
(1)毎日支払うもの
(2)週ごとに支払うもの
(3)日割で支払うもの
(4)日雇賃金
※(1)から(3)は日雇賃金を除く。
上記の(1)から(3)に掲げる給与のうち、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与については「甲欄」を、その他の人に支払う給与については「乙欄」を、(4)の日雇賃金については「丙欄」を使って税額を求めます。
また、賞与を支払う場合は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用します。
ただし、前月中に給与の支払がない場合または賞与の金額が前月中の給与の金額の10倍を超える場合には、「月額表」を使います。
次に月額表および日額表にある甲欄、乙欄、丙欄の税区分の違いについて記載します。
源泉徴収税額表の甲欄
甲欄は、給与所得者の扶養控除等申告書(以下、扶養控除等申告書)を提出した従業員に対して給与を支払う場合に使用する税区分です。
扶養控除等申告書の提出を受けた企業が主たる給与の支払先となり、書類をもとに源泉徴収税額表の甲欄を使って処理を行います。
日本国内で給与の支給を受ける人は、原則として扶養控除等申告書を提出しなければいけないことになっています。
源泉控除対象配偶者や扶養親族がいない場合でも、申告自体は必要となります。
この申告が行われなかった場合は、源泉徴収にあたって受けられるさまざまな控除の対象外となり、年末調整もできなくなります。
源泉徴収税額表の乙欄
乙欄は、給与所得者の扶養控除等申告書の提出がない場合に使用する税区分です。
給与所得者の扶養控除等申告書の提出がないケースで多いのは、従業員が期限までに書類を申告しなかった場合です。
扶養控除等申告書の勤務先への提出期限は、その年の初めての給与支給日の前日ですが、企業が従業員に対して扶養控除等申告書を配布し忘れたミスがあった場合など、やむを得ず乙欄が使われることもあります。
また、従業員が副業や兼業をしているときに乙欄を使用することもあります。
2箇所以上の企業に勤めて給与支払いを受けている人は、1つの企業に対して扶養控除等申告書を提出することになります。
提出しない方の企業では、源泉徴収税額表の乙欄を使って処理を行います。
実態として自社での給与がメインであったとしても、扶養控除等申告書を提出がない場合は、その従業員に支払うものは主たる給与には該当せず、乙欄を使用することになるため注意が必要です。
源泉徴収税額表の丙欄
丙欄は日額表にのみあり、日雇賃金として給与を支払っている場合に丙欄を使って税額を求めます。
日雇賃金とは、日々雇い入れられる人の労働した日または時間によって算定される給与等で、労働した日ごとに支払を受ける(その労働した日以外の日において支払われるものも含みます。)ものをいいます。
ただし、1か所の勤務先から継続して2か月を超えて給与等が支払われた場合には、その2か月を超える部分の期間について支払われるものは含まれません。
なお、パートやアルバイトに対して日給や時間給で給与を支払う場合は、あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内と決められていれば、「日額表」の「丙欄」を使って税額を求めます。
まとめ
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は、甲欄を使用して源泉徴収すべき税額を決定します。
副業を認めている場合は、別の会社で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているケースもあるので、乙欄を使用することを忘れないように注意が必要です。
どの税区分に該当するのかは社員によって異なるため、それぞれの勤務状況をしっかりと把握しておきましょう。
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