時間外労働の割増賃金の計算
『残業』とは、労働契約で定められた「所定労働時間」を超えて働いた業務のことを言います。
また、残業には「法内残業(法定内残業):所定時間外労働」と「法外残業(法定外残業):法定時間外労働」の2種類があります。
今回は、「所定時間外労働」と「法定時間外労働」の違いについて、説明いたします。
〈所定時間外労働〉
労働契約で定められた所定労働時間を超えた時間のことを言います。
〔例〕 週3日勤務 9時~16時(休憩1時間)
9時~17時まで勤務した場合は、『16時~17時』の時間が『所定時間外労働』となります。
〈法定時間外労働〉
労働基準法32条により、以下を超えた時間のことを言います。
・1日「8時間をl超える労働をさせてはならない
・1週間で40時間を超える労働をさせてはならない
〔例〕 週5日勤務 9時~18時(休憩1時間)
9時~20時まで勤務した場合は、『18時~20時』の時間が『法定時間外労働』となります。
【割増賃金の発生】
割増賃金は、『法定時間外労働』を超えた場合に発生します。
※補足※
所定外労働時間は発生していても、法定労働時間が超えていなければ、割増賃金の支払い義務はありません。
通常、所定外労働時間の場合は、割増賃金は『1.00』にて支払いが発生いたします。
また、割増賃金の割増率は“2割5分以上(125%)”が定められています。
なお、1か月についての時間外労働が60時間を超えた場合は“5割以上(150%)”が定められています。
◆割増賃金の計算方法
割増賃金の計算は、基本的には賃金を時間給に換算し、それに時間外労働時間と、割増率を掛け合わせて算出します。
・割増賃金の額=1時間当たりの賃金額×時間外労働時間×割増率
◆1時間当たりの賃金額の求め方
- ①時間給:時間給の金額
- ②日給:日給を1日の所定労働時間数で割った金額
- ※日給で、1時間当たりの賃金額を求める場合、その日のみ発生する手当(例えば運転手当等)を含めて計算する必要があります。
- ③週給:週給の金額を週の所定労働時間数で割った金額
- ④月給:月給の金額を月の所定労働時間数で割った金額
- なお、割増賃金を求めた際に発生する端数処理は以下のように認められています。
- ①1時間当たりの賃金額及び、割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合
- ②1か月の時間外労働の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合
- ①②ともに
・50銭未満:切捨て
・50銭以上1円未満:1円に切上げ
〔計算例〕
月給者(1日8時間労働・週40時間勤務) が2時間残業を行った場合
基本給 300,000
月平均所定労働時間 173.8時間
割増率 125%
- 1時間当たりの賃金額:300,000÷8=1,726.1⇒1,726円
- 1時間当たりの割増賃金の単価:1,726×125%=2,157.5⇒2,158円
- 割増賃金額:2,158円×2時間=4,316円
まとめ
「所定時間外労働」と「法定時間外労働」の違いと、それに伴う割増賃金の計算を正しく行う必要があります。
加えて、従業員とのトラブル回避のためにも、具体的な決まりを就業規則や、賃金規定に明記しておく必要性があります。
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