平均賃金の計算方法とは?正しい計算式と賞与・通勤手当の扱い、ミスを防ぐ実務ポイントを解説

解雇予告手当や休業手当の計算で必要となる「平均賃金」。 「直近3ヶ月の総支給額を日数で割ればいい」と考えていませんか? 実はその認識が、思わぬ労務トラブルを招く原因となります。

平均賃金の計算には、労働基準法で定められた厳密なルールが存在します。「通勤手当は含めるのか?」「休職期間はどう扱うのか?」「時給制パートの場合は?」──これらをひとつでも誤ると、1円単位の未払いが発生し、是正勧告や遅延損害金の対象となります。

本記事では、人事労務の専門家が、平均賃金の正しい計算手順と、実務担当者が最も間違いやすい「例外パターン」について、要点を絞って解説します。

本記事で分かること
  • 平均賃金の定義
  • 平均賃金の計算方法
  • 実務で迷うポイント
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目次

平均賃金とは?使用する5つの場面と法的定義

平均賃金とは、労働基準法等で定められた手当や補償額を算出する際の基準となる金額のことです。

「基本給」や「固定給」とは異なり、残業代や通勤手当などを含めた「労働者の生活実態に近い賃金単価」を算出するために用いられます。

平均賃金が必要になる具体的なケース

主に以下の5つの場面で、算定の基礎として使用されます。

  1. 解雇予告手当(労基法20条):30日前の予告を行わずに即時解雇する場合などに支払う手当(30日分以上)。
  2. 休業手当(労基法26条):経営不振など、会社都合で従業員を休ませる場合に支払う手当(60%以上)。
  3. 年次有給休暇の賃金(労基法39条):有給取得時の賃金として、就業規則で「平均賃金」と定めた場合(通常は「所定労働時間働いた場合の賃金」とするケースが多い)。
  4. 労災保険の休業補償(労基法76条):業務災害で休業する際の補償(待機期間3日間の補償など)。
  5. 減給の制裁制限(労基法91条):懲戒処分として減給する場合の上限額(1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない)。

「通常の賃金」との違い

なぜ、いつもの給与額(通常の賃金)ではなく、わざわざ複雑な「平均賃金」を計算するのでしょうか。

それは、労働者の生活を保障するためです。例えば、残業が多く発生していた時期に解雇されたり怪我をしたりした場合、基本給だけの補償では生活水準が下がってしまいます。直近の実績に基づいた総収入から単価を割り出すことで、労働者の不利益を防ぐ狙いがあります。


【原則】平均賃金の基本的な計算方法

平均賃金の計算は、原則として以下の計算式で行います。

計算式:直近3ヶ月の賃金総額 ÷ その期間の総日数

※平均賃金 = 直近3ヶ月間の賃金総額÷直近3ヶ月間の暦日数

ここでの最大のポイントは、分母が「労働日数(出勤した日)」ではなく、土日祝日を含めた「暦日数(カレンダーの日数)」である点です。

STEP1:「直近3ヶ月」の起算日と締め日

計算の対象となる「直近3ヶ月」は、いつからいつまででしょうか。

  • 原則:事由発生日(解雇通告日や休業日など)の前日から遡って3ヶ月間。
  • 賃金締切日がある場合:事由発生日の直前の賃金締切日から遡って3ヶ月間(労基法12条2項)。

参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索

例えば、「毎月末日締め」の会社で、4月10日に解雇通告をした場合、直前の締め日は「3月31日」となります。したがって、算定期間は「1月1日〜3月31日」の3ヶ月間となります。

※計算期間中に締め日変更などがあった場合は、日数が不足しないよう注意が必要です。

STEP2:「賃金総額」に含めるもの・含めないもの

分子となる「賃金総額」には、税金や保険料を引く前の額面金額を使います。

【含めるもの(算入)】

  • 基本給
  • 諸手当(役職手当、家族手当、住宅手当など)
  • 超過勤務手当(残業代、休日手当、深夜手当)
  • 通勤手当(6ヶ月定期代なども月割にして算入します)
  • 年次有給休暇中の賃金

【含めないもの(除外)】

  • 臨時に支払われた賃金(結婚祝金、見舞金、退職金など)
  • 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与など)

※年4回支給される賞与は「3ヶ月を超えない」ため算入されます。

STEP3:「総日数」から控除すべき期間

算定期間中に以下の期間が含まれている場合は、その日数(分母)と、その期間中に支払われた賃金(分子)の両方を計算から控除します(労基法12条3項)。

  • 業務上の負傷・疾病による療養期間(労災休業)
  • 産前産後休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
  • 育児・介護休業期間
  • 試用期間

これらを控除せずに計算すると、分母(日数)だけが大きく、分子(賃金)が少ない状態となり、平均賃金が不当に低くなってしまうためです。

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【例外】パート・アルバイト(時給・日給者)の計算と最低保証額

なぜパートには「最低保証額」が必要なのか

パートタイマーや日雇い労働者のように勤務日数が少ない人の場合、原則の計算式(暦日数で割る方法)を使うと、平均賃金が極端に安くなってしまうことがあります。

例えば、月10日勤務で月収5万円の人を暦日(30日)で割ると、1日あたり約1,666円となり、実際に働いた1日分の価値(5,000円)と大きく乖離します。これを防ぐために「最低保証額」が設けられています。

最低保証額の計算式と判定方法

時給制・日給制・出来高払制の労働者の場合は、以下の2つの式で計算し、高い方を平均賃金として採用します。

  1. 原則の式: 賃金総額 ÷ 3ヶ月の総日数(暦日数)
  2. 最低保証額の式賃金総額 ÷ 3ヶ月の労働日数 × 60%

計算シミュレーション(週3日勤務のパートの場合)

例:時給1,000円、1日5時間、週3日勤務(月収約60,000円)

  • 3ヶ月の賃金総額:180,000円
  • 3ヶ月の暦日数:90日
  • 3ヶ月の労働日数:36日
  • ①原則の式:180,000円 ÷ 90日 = 2,000円
  • ②最低保証額の式:180,000円 ÷ 36日 × 0.6 = 3,000円

    判定: 2,000円 < 3,000円

この場合、高い方の3,000円が平均賃金となります。このように、パート社員の場合は最低保証額が適用されるケースが多いため、必ず両方の式で比較計算を行ってください。


こんな時どうする?実務で迷うQ&A

入社3ヶ月未満の従業員の場合は?

入社したばかりで3ヶ月の実績がない場合は、「雇い入れ後の期間」で計算します(労基法12条6項)。

参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索

計算期間は、入社日から事由発生日の前日(賃金締切日がある場合は直前の締切日)までとなります。
ただし、直前の締切日までの期間が1ヶ月に満たない場合は、締切日を無視して事由発生日の前日までを計算期間とします。

欠勤や休職期間が含まれる場合は?

欠勤控除がある場合、原則として賃金総額から控除後の金額を用いますが、分母の暦日数は減らないため平均賃金は下がります。

ペイロールエージェンシー横野

3ヶ月以上休職していた方の平均賃金を計算する際は、注意が必要です。直近の期間で計算すると賃金が0円になってしまうため、行政通達(昭和24年基収1619号等)に基づき、休職開始日を起算日としてそこから遡った3ヶ月間で計算してください。解雇予告手当が0円になるという不合理な減額を防ぐための大切なルールです。

固定残業代や現物給与の扱いは?

  • 固定残業代:名称にかかわらず労働の対価であるため、全額算入します。これを除外して計算すると違法となります。
  • 現物給与:通勤定期券などの現物支給がある場合、その評価額を賃金総額に含める必要があります。

平均賃金の計算ミスが招く企業リスク

1円でも不足すれば「賃金未払い」のリスク

平均賃金の計算ミスにより、本来支払うべき金額より1円でも少なかった場合、それは「賃金未払い(労基法違反)」です。

不足分を遡って支払う義務が生じるだけでなく、退職後の未払いには年14.6%の遅延損害金が発生する可能性があります。また、悪質な場合は裁判で「付加金(未払い額と同額のペナルティ)」を命じられるリスクもあります。

労災申請時の是正リスク

労災保険の休業補償給付を請求する際、申請書に誤った平均賃金を記入して提出すると、労働基準監督署の調査で修正を求められます。

給付額が変更になることで従業員に迷惑がかかるだけでなく、「ずさんな給与計算をしている会社」として労基署の監視が厳しくなる可能性があります。


まとめ

平均賃金は、労働者の生活保障に関わる重要な指標です。 基本の計算式はシンプルですが、実務では「パートの最低保証額」や「控除期間の扱い」など、イレギュラーな判断が求められる場面が多々あります。

たった一度の計算ミスが、退職者からの未払い請求や、労基署調査の引き金になることも珍しくありません。 「計算が合っているか不安」「毎回調べるのが大変」と感じる方は給与計算のアウトソーシングを検討するタイミングかもしれません。

株式会社Aimペイロールエージェンシーでは、複雑な平均賃金の算出はもちろん、貴社の就業規則に基づいた正確な給与計算を代行します。 「リスクをゼロにして本業に集中したい」とお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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この記事を書いた人

Aimペイロールエージェンシーでは給与計算のアウトソーシング・コンサルティングを通じて企業の経理・総務ご担当者様をサポートしています。当コラムでは、給与計算の専門家として、疑問・お悩み改善に役立つ正確な情報の発信に努めています。

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